ニュース活動報告一覧へ

NEWS

ニュース
推進中プロジェクト
2025.03.31

AIアバターがもたらす新たな相談支援の可能性 「メタバース役所」の実証事業成果のご紹介

AIアバターがもたらす新たな相談支援の可能性 「メタバース役所」の実証事業成果のご紹介
この記事はこんな人におすすめ
  • DXを推進している自治体や事業者・団体
  • XR(クロスリアリティ)やメタバースの活用や開発を検討している事業者・団体(特にスタートアップ企業など)
  • オンラインを活用した体験型機能/サービスの開発に関心のある事業者・団体
  • 多言語対応、AI活用などで利便性向上を実現するサービスを開発している事業者・団体

DNPは、あらゆる年齢・性別・言語等の人々が互いに分け隔てられることなく、リアルとバーチャルの双方を行き来できる新しい体験と経済圏を創出する「XRコミュニケーション®*1」を2021年から展開しています。メタバースを活用した教育支援や自治体の地域活性化、「メタバース役所」*2等の行政サービス向上と窓口業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援しています。

取り組みの背景

新潟県三条市とDNPは、自治体のDXによる住民サービスの向上を目指すため、DNPが提供する「メタバース役所」を導入し、共同実証事業を行っています。

昨年12月には、オンライン空間上でアバター同士で会話をするというメタバースの特長を生かし、アバターを通じたコミュニケーションによって住民の不安や悩みの軽減に有効であるかの実証事業を行いました。
本実証では、「メタバース役所」にAIアバターを導入し、相談することによって住民の精神的な孤立の解消や課題の早期発見につなげることできるかを検証しています。

本記事では、新潟県三条市で行った実証事業の結果や期待される効果についてご紹介いたします!

関連記事:三重県桑名市と新潟県三条市のDXに関する実証事業に「メタバース役所」を提供

関連記事:大日本印刷と新潟県三条市 「メタバース役所」のAIアバターが住民の相談に応える実証事業を開始

今回の実証事業について

実証中の「メタバース役所」バーチャル空間のようす

実証事業の概要

  • 実施期間:2024年12月5日~12月11日のうち平日5日間
  • 実施時間:9:00-17:00
  • 検証方法:AIアバターと人がオペレーションするアバター(公認心理士等の資格保有者)に同様の相談を行い満足度の比較
  • 相談テーマ:家族関係の悩み・不安

今回の実証では、精神的な孤立を感じている住民が顔出し不要かつ匿名でAIアバターに相談できることで、早期に課題を開示し、深刻化する前の早期対応につなげられることへの有効性を検証しました。
相談テーマは家庭内の悩み・不安で、AIアバターは受けた相談から適切な手続きや支援機関の案内といった多様な選択肢を提示して参加者をサポートします。参加者はAIアバターと専門家のオペレーションするアバターの双方に相談することで、満足度を比較検証しました。
なお、2022年に東京都市大学で実施された研究では、「オンラインでのコミュニケーションで自己開示を促すにはVRアバターを用いることが効果的であること」*3が示されており、今回の実証においても同様の効果が得られることが期待されています。

また、DNPの提供する「メタバース役所」のバーチャル空間は、第三者に機微な情報が漏れないよう空間内を制御する機能や、通信の暗号化によりセキュリティ対策を施すことで「安全安心」に利用することができ、メタバースになじみのない人でも容易にアクセスできるように、アプリインストール不要でウェブブラウザで接続できるため参加のハードルを下げ、利用を促す工夫をしています!

実証事業の結果

実施後に行ったアンケートの結果では、参加者の6~7割の方がAIアバターの回答に満足しているという結果になりました。AIアバターが、配偶者とのコミュニケーションや価値観の違いへの不安、家庭内の役割分担、子供との関わり方、結婚生活の悩み、家計相談、夫婦関係、両親の介護の準備などの他者に知られたくないセンシティブな悩みや問題に対して、手続き、手当、助成といった各種届出などの有効な支援策を提案することができています。

  • 緊張することなく相談できる。
  • 何を話したらいいか戸惑うことなく相談できる。
  • 自分の本音で話すことができている。

というコメントもあり、参加者の総合的なアンケートの結果からAIアバターは住民からの相談に対して、早期の段階での課題発見・対処に有効であることが確認できました。

以下は、実証事業に参加した方のアンケート結果の一部抜粋となります。






実証事業で判明した課題と解決策

本実証事業からは、今後解消をしていくべき課題も判明しました。

まずは、AIアバターの回答結果への満足度のさらなる向上です。今回の実証では参加者の約6~7割の方が回答結果に満足していることがわかりましたが、満足度をさらにアップさせるために、AIアバターの振る舞いを定義するプロンプトの内容を改善・見直しを図ることで、回答精度向上を図るという対策を検討しています。
また、AIアバターと人がオペレーションするアバターが対応する相談領域の棲み分けにも改善の余地が見られ、AIに有用性のある相談内容と、専門の資格を保有する人に有用性のある相談内容が参加者によって異なる傾向があったため、今後はそれぞれに適している相談領域を深堀していく必要があることがわかりました。

まとめ

  • 地域住民への「メタバース役所」へのAIアバター導入に期待される効果

AIアバターは、リアルの人や人がオペレーションするアバター相手ではセンシティブで話しにくいような相談でも話せるといったように心理的なハードルを下げる効果があることがわかりました。
また、24時間相談を受け付ける環境が提供できるようになることで、多様な住民の相談支援ニーズに応えることが期待されています。さらに、緊張せずに気軽に相談できるという声が多く、自治体の支援制度や手続きに関心を持ち、積極的に情報にアクセスする動機付けにもなることがわかりました。

  • 市役所の役割に期待される効果

「メタバース役所」の導入により、開庁時間外にもAIアバターが相談を受け付ける体制をつくることが可能となり、これまで心理的なハードルや時間の制約などで相談することが難しかった人たちに対する受け皿ができ、住民が相談しやすい環境が整うことで「誰一人取り残されない」デジタル社会の実現に寄与できるといえます。

今後の展開

DNPは、AIアバターによる「メタバース役所」の相談機能を多くの自治体に提供し、地域に寄り添うことで住民の相談ごとや課題の早期発見と適切な対応を支援するとともに、潜在的な悩みや不安の軽減を目指した住民サービスの向上を目指します。

今後は、行政システムとの連携やマイナンバーカードでの認証を行い、メタバース内でも行政での申請手続きが完結する仕組みの導入や、リアルの業務DXであるBPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)・BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)を組み合わせることで、自治体職員がコア業務に集中できる新たな環境づくりを支援していきます。

*1 DNPのXRコミュニケーション事業について

*2 DNPの「メタバース役所」について

*3 参照:オンラインコミュニケーションツールを比較し、自己開示の効果を検証 ―VRアバターはビデオチャットよりも素の自分をさらけ出す。―


今回の記事はお楽しみいただけましたでしょうか?今後も、「メタバース役所」での取り組み・実証事業については定期的に取り上げてまいります。
DNPの「XRコミュニケーション®」事業にご興味をお持ちいただけた方は、是非こちらからお問い合わせください。


関連記事

リンクをコピー コピーしました