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2021.3.04
  • CO-CREATION

味覚に留まらない、食の体験価値を最大化するFood Communication プロジェクト

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BEER DROPSやMAKANAI BOXなど、生活者目線で食の体験価値にアプローチしていくFood Communicationプロジェクト。今回は、当プロジェクトの責任者の中村と小泉に、プロジェクトの全体像やビジョン、食にフォーカスした理由、DNPとして新たな 事業領域にチャレンジし奮闘する様子や考え方をインタビューしました。ぜひご覧ください!

DNP_FoodCommunication

 

■食の体験価値を最大化する「Food Communication」

―― はじめに、Food Communicationのプロジェクトについて教えてください。

中村 Food Communicationは『食の体験価値を最大化する』ことをビジョンに掲げ、オープンイノベーションを活用しながら推進する新規事業プロジェクトです。 食の価値を体感できるタイミングは、食べて美味しいといった味覚体験だけではなく、たとえば誰とどこで食べるかなどの食事の環境や、食事の提供方法、食事を待つ時間などと多方面に渡ります。共創を通して、食という領域の至るところで人を幸せにする体験価値を生み出すことが、このプロジェクト全体の考え方です。

 

―― 食の体験価値を上げる事業活動としてコミュニケーションを掲げることには、どんな考えがあったのでしょうか?

小泉 DNPが長年培ってきた情報技術を活かしたコミュニケーションデザインによって、人々の食を取り巻く体験を充実させていきたい、またDNPの「人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する」という企業理念を新たなチャレンジとして食分野でも実現したいという意図があります。食の事業共創に対して、食のプロではないDNPがどう絡むことができ、どのような価値を提供できるのかチームで何度も検討しました。その中で、食のプロフェッショナルや関連企業とパートナーシップを組むことで、食の体験価値そのものを高め、生活者の喜びに繋げていきたいという私たちの思いから、今のビジョンが出来上がりました。

中村 人によって価値感は異なるので、生活者のニーズを一つずつしっかりと捉えて、アプローチしていく。僕は、このプロジェクトをよく「テーマパーク」に例えています。乗り物自体が食事の瞬間だとしたら、乗り物に乗るまでの道のりや周囲の雰囲気も含めて食事の体験だと思うので、食を起点に多角的なコミュニケーションをつくりたいと考えています。

DNP_FC_Nakamura

 

―― コミュニケーションと聞くと幅広く捉えることができますが、具体的にどういった領域でプロジェクトを展開していますか?

中村 現在は、プロダクトコミュニケーション、テーブルコミュニケーション、ソーシャルコミュニケーションという3つの領域に分けて事業創出にチャレンジしています。この考え方もすごく悩みながら、メンバーで何度も案を出し合って決めました。

まず、プロダクトコミュニケーションは、食の先端技術を活用し、革新的な食品そのものを企画開発することで、新たな食の体験価値を生み出します。次に、テーブルコミュニケーションは、DNPが得意とする空間演出や装飾のノウハウ、P&Iテクノロジーを活用し、食を最大限楽しむための環境やサービスの企画開発を行っています。三つ目のソーシャルコミュニケーションは、食ロスや使い捨て容器の削減など、食を楽しむ裏側で、自然と社会課題解決に貢献するサービスを提供したいという考えの下に、サービス開発を進めています。

FoodCommunication説明図

―― 現在はどんなプロジェクトが進行中ですか?

小泉 直近では、主にプロダクトコミュニケーションの事業を進めています。現在公開しているものだと、FULLLIFE社と取り組んでいる「アイスボーール」や「溶けない!?アイス」、また、そのアイスボーールを活用しアサヒビールと取り組んでいる「BEER DROPS」といった、新しい食の体験価値などがあります。

 

中村 テーブルコミュニケーションの領域でも、今まさに飲食店が苦しい状況を救えるようなソリューションを考えている最中です。まもなくリリースする新サービスもあるので、楽しみにしていてください!

 

DNP_FoodCommunication_Koizumi

 

■僕たちが「食」の共創にフォーカスする理由


―― そもそもですが、なぜDNPとして食の領域に踏み込もうと考えたのでしょうか?

中村 元々は僕たちの食への想いがきっかけです。松嶋のインタビューで、僕たちは自分の「WILL」から事業を考えているという話がありましたが、まさにその通りで。現在このプロジェクトを推進している3人それぞれに食へのこだわりがあり、日常からは切り離せない身近なテーマでもあるので、それを事業にしたいと考えました。

僕自身は入社当初から海外で仕事をしたいと思っていて、今の部署に来てからも、海外での新しい市場づくりを目指して共創に取り組んできました。始めはオープンイノベーションが何かもわからず手探りする中で、海外で通用する日本の強みや自分の興味と重なるビジネス領域を考えたときに、自分は食にこだわりがある人間だなと改めて思ったことがきっかけです。

 

美味しいものを食べるためのリサーチもそうですが、特に「もったいない精神」を昔から強く持っています。食べ物を無駄にしない、ご飯粒はひとつも残さないという教育を受けてきたことも関係していると思います。そう考えた時に、今世界でも取り上げられている食ロス問題などに、事業としてアプローチしていきたいという思いから、食領域をテーマにしました。

 

DNPとしては、飲食店等は今までリーチしづらかった業界・分野 だからこそ、ゼロイチの新規事業としては市場性 があると思いますし、DNPが培ってきた事業ノウハウを食の領域でも応用することができると考えています。

MAKANAIBOX

MAKANAIBOX

 

―― 小泉さんはどんな背景から「食」にフォーカスしてきましたか?

小泉 僕は最初の配属が大阪で、毎日粉ものを食べて飲み歩いていたら急激に体重が増えて(笑)。現部署の立ち上げと同時に東京に戻ってきましたが、好き勝手食べていたら体重は増える一方でした。これは1年前の写真なんですけど…(スマホを見せる)当時は100キロを超えていて、コロナの緊急事態宣言で外食が減ったことを機に身体を変えようと、美味しいものを食べることと健康の両立に気を遣い始めました。もともとおいしいものを食べることやたくさん食べることは好きでしたが、一つ一つこだわるようになったのは、それがきっかけでした。

もうひとつは、今までBtoBの仕事をしてきたので、生活者に向けた仕事をしてみたい気持ちがあったんです。要はバズる仕事がしたいなって(笑)。具体的に何をやるのかは、いろんなスタートアップ企業の方と会う中でブラッシュアップしていきました。そういった点ではFULLLIFEとの出会いは、食をテーマにしようと思うきっかけにもなりましたし、何よりも楽しそう!って思えたので自分から行動できたことが一番大きかったです。それからはディスカッションを重ねて、アイディアを試して、実行して、と走り続けながら形にしていきました。

そんなこんなで、食をテーマにしたい僕と中村とリーダーの松嶋でチームを組んで、一年ほど前から今のFood Communication構想を打ち立てて、日々取り組んでいます。

DNP_BEERDROPS

―― 実際に共創を進める上では、社外だけでなく社内理解を得ることへの困難も多いかと思います。

小泉 DNPは食品を作ってきたわけではないので、社内で品質保証管理や安全管理といった適切なチェック機能を整える ことに力を入れています。一方で、社外に対しては、僕たちが食品業界の当たり前を知らないことも多くて。DNPがやらないといけないことや、こういう体制が必要だとか、向こうからしたら共通認識がある前提で話をしてくれることも多いので、すみません…と教えてもらいながら学び始めることも多いです。

中村 食に限らずですが、オープンイノベーションとして僕たちが取り組み始めているビジネスは前例がないことばかりなので、会社としてどういう判断をしたらいいかなど、自分たちで調べて社内に訴えていくことには労力が要りますね。とはいえ、社内にとっても初めてのケースだからこそ、一緒に新しい取り組みを始めることを前向きに考えてもらえる場合も多いです。

そういったオープンイノベーションの良さを上手く使いながら実績を積み、将来的にはFood Communicationを大きな事業にする目標があるので、食品ひとつにしても、取り扱える体制を社内できちんと整備していこうと挑戦しているところです。

 

―― 一方で、社内でいろんな事業部のアセットを繋げられる可能性や、他部署とのシナジー効果が見えることもありますか?

 中村 まさに今進めているプロダクト開発もそうですが、食品は包装材などが絡んでくるので、協業できる部署が社内にあることは強みです。複数の事業部を巻き込むことで、DNPの中でもFood Communicationの活動を認めてもらうことができ、食の領域における共創の必要性や意義をわかってもらいやすいメリットもあります。

小泉 今まで食関連の企業とのお付き合いは多くはなかったので、僕たちがパイプをつくることで社内でも取り組みを横展開できます。僕たちの共創プロジェクトをフックにして、社内外に取り組みが広がっていく相乗効果も目指して、現在は動いています。

 

 ■生活者目線で、世の中の反応を見ながら広げる食の共創


―― Food Communicationプロジェクトの、今後の展望を教えてください。

中村 個人としては、マーケットとして海外を見据えていきたいと思います。とはいえ、まずはきちんと日本で進めていきます。複数のプロジェクトを同時並行で動かす中で、しっかりとアウトプットを出して、ビジネスデザイン本部の実績を積み上げていきたいです。社内の体制を整えていくのもそうだし、このプロジェクトが事業としてきちんと成り立つように、スピード感を持って推進したいと思います。

小泉 まずは、今やっていることの認知を広げて、大きな動きにしていきたいですね。とっかかりを作るだけではなく、日本中が知っているような事業に拡大していきたいです。プロジェクトとして情報発信できるチャネルを持つなど、自主的に発信できる場所も積極的に作ることで、生活者に対しての影響力も作っていきたいと思っています。

 

―― 事業共創という視点で、今後出会いたい企業はありますか?

中村 飲食店と一緒に事業展開をしたいです。食の最前線は飲食店にあると思うので、コロナ対策も行いながら、店舗での体験価値の質を向上させるために、小さな取り組みからでも、大きなムーブメントに成長すると信じて、積極的に仕掛けていきたいと考えています。現時点では、食事はリアルでしか体験できないことなので、飲食店というリアルな場所が提供できる価値は底知れないと考えています。

 

小泉 ご一緒できそうな企業と話すことで新たな視点が生まれるのもそうだし、コロナの状況が落ち着いて機会ができれば、Food Communication プロジェクトとしてイベントに出てみるなど、挑戦の場所を増やしていきたいですね。たとえば「溶けない!?アイス」が日本で一番早く溶けるのはどこか!など、リアルだからこそわかることを伝え世の中の反応を見ながら邁進していきたいです。

DNP_FCProject

今後の食を通じたいろんな事業がますます楽しみになるインタビューでした。Food Communication プロジェクトの詳細は、こちらからご覧いただけます。今後もぜひ、私たちの活動にご注目ください!