プラスチックリサイクルの現状とは
2017年のデータでは、日本の廃プラスチックの有効利用率は86%ですが、その内訳はマテリアルリサイクル23%、ケミカルリサイクル4%、サーマルリサイクル58%となっています。半分以上が焼却されており、その際に発生する熱エネルギーを回収・利用することで「サーマルリサイクル」としてカウントされています。欧米ではリサイクルはマテリアルとケミカルのみで、日本はサーマルを除くとOECD加盟国34か国の中でも27位というのが実状です。
(参考)
一般社団法人プラスチック循環利用協会「プラスチックリサイクルの基礎知識2019」
東京23区のごみ問題を考える|OECD加盟34か国、一般廃棄物とリサイクル率(2013年)
そんな日本もペットボトルに関しては80%以上がリサイクルされているといわれ、繊維に生まれ変わったり、再びボトルに戻って使用されるBottle to Bottleの動きも進んでいます。
そもそもなぜリサイクルが必要?
回収されないプラスチックは燃やされて埋め立てられるか、道端や海岸等に捨てられているものに関しては時間をかけて細かく分解されマイクロプラスチックとなって生態系を壊し、ウミガメ等の生存を脅かすことになります。そしてゆくゆくは私たち人間の安心安全を脅かすようにもなりえます。未来の子どもたちが安心して暮らせるきれいな自然環境を守るためには、今この環境課題に向き合う必要があります。
使いどころのない再生プラがリサイクルの妨げに
そんな中、廃棄プラスチックの4割を占める量が毎日排出されているのが容器包装プラスチックです。これらは各市町村で一旦簡易分別された後、再生業者に運ばれて、洗浄、粉砕、溶解等の工程を経て新しいプラスチックに再生されます。ですが、この再生プラスチックは品質の劣化や衛生面から、もう一度元の包装容器に使用することは難しいのが現状です。輸送に使用するパレットや、公園のベンチ等使える用途が限られてしまい、それでも使い切れないため海外にも輸出されています。このように元の状態から品質や価格だけでなく、価値も下がってしまうことがリサイクル推進の阻害要因の一つになってしまっています。
ものづくりの会社としての使命
大日本印刷はペットボトルを始めとするパッケージや、販促ツール、カード類、建材等の製造で様々な領域でプラスチックの製造をしています。長年モノづくりによって成長してきている企業として、クライアント企業や生活者を巻き込んだリサイクルを積極的に推進していきたいと考えています。リサイクルには多くの課題がありますが、特に大きいのは「回収」と「再生」だと考えています。このプロジェクトではこの2つのテーマをメインに、生活者が楽しく継続的に参加できるプラスチック回収のスキームを構築し、より価値と魅力のある再生プラスチックでできたものが暮らしの中にあたりまえにある未来を目指していきます。
プラスチックリサイクルの回収と再生、そしてその循環を一緒に実現してくれるパートナーを探しています。環境問題をもっと身近な取り組みに変え、誰もがあたりまえに行動する未来をつくっていきましょう!