未来の旅行体験への第一歩!次世代型チェックイン実証レポート
- ホテル・観光分野で本人確認業務のデジタル化を検討している事業者
- 分散型ID/VCなどデジタルアイデンティティ技術の活用事例を探している事業者
- プライバシーと利便性を両立する次世代認証に関心のある企業ご担当者
皆さん、こんにちは。DNP INNOVATION PORT運営の野崎です。
今回は、先日行われた分散型ID事業の実証についてレポートします。
分散型IDとは、個人が自身のデータを主体的に管理できる新しいデジタルアイデンティティの考え方です。DNPは、VC(Verifiable Credentials)と呼ばれるデジタル証明書技術を活用し、生活者が必要な情報だけを安全に開示できる仕組みづくりに取り組んでいます。これにより、プライバシー保護と利便性を両立し、企業や社会全体が信頼できるデータ連携を実現することを目指しています。
分散型IDが注目される背景
分散型IDやデジタル証明書技術の一つであるVCは、「個人が自らの情報を管理し、必要な相手に必要な範囲だけを提示する」という個人の認証の新たな形として注目されています。
近年、分散型IDやVCの利用は旅行・金融・教育などの本人確認や資格情報の分野で広がりを見せており、個人の認証のあり方を見直す動きが各国で進んでいます。
とくに旅行分野では、海外からの渡航者が増える中で、本人確認の信頼性と利用者の利便性をどう両立させるかが課題となっています。こうした背景のもと、物理的なパスポートに依存しない新たな本人確認のあり方として、このような技術が活用され始めています。
今回DNPは、これからの旅行体験のあり方を見据えながら、分散型ID技術が実際のサービスや業務の中でどのように機能するのかを実証しました。
DNPが描く分散型IDのアプローチ
DNPは本人確認や認証に伴う情報の真正性というテーマに向き合いながら、社会や事業の基盤となる仕組みづくりに長年取り組んできました。
従来はサービス提供者が利用者の個人情報を預かり、管理することが一般的でしたが、分散型ID技術の登場で、個人が自らの情報を保有し、必要な相手にだけ必要な情報を提示するという考え方が生まれました。DNPはこの思想を、プライバシー保護と利便性を両立する次世代の認証モデルとして捉え、様々な取り組みを進めています。
こうした取り組みの中核となるのが、DNPが提供する分散型ID管理プラットフォーム「CATRINA*1」です。CATRINAは世界各国のデジタルID基盤と接続し、認証のハブを担います。
今回の実証では、韓国のLORDSYSTEM社*2が提供するモバイルパスポートアプリ「Trip.PASS(トリップパス)」*3を活用しました。「Trip.PASS」は利用者のパスポート情報をデジタル化し、スマートフォン等のデバイスで保持することで、物理的なパスポートを提示することなく、必要なパスポート情報を利用できる仕組みです。
*1 DNP分散型ID管理プラットフォーム CATRINA:https://www.dnp.co.jp/biz/products/detail/20175481_4986.html
*2 LORDSYSTEM社について:https://www.lordsystem.co.kr/en/
*3 モバイルパスポートアプリ Trip.PASS:https://trippass.net/
今回の実証内容
DNPは、USEN&U-NEXT GROUPの株式会社USEN-ALMEXとソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ株式会社の協力のもと、デジタルパスポート*4とホテルのKIOSK端末を連動させたチェックインの実証を実施しました。本実証では、デジタルパスポートを活用したチェックインで、従来の物理パスポート提示や確認を含むチェックインの手続きをどこまで効率化できるのかを検証しています。
*4 デジタルパスポート:従従来の紙のパスポートをデジタル化したもの。スマートフォンに保存され、旅館業法におけるパスポート呈示の代替として使用することが可能
実際に宿泊者がチェックインを行うホテルの現場で、宿泊者はTrip.PASSに事前にパスポート情報を登録し、現地ではKIOSK端末と連携することで、フロントスタッフの対応を介さずにチェックインを進める体験を行います。
一方、ホテル側は業務負荷や運用面での変化を確認しながら、実際の業務フローに適用できるかを評価します。
この実証は、業務効率化の効果測定だけでなく、デジタルパスポートを用いた本人確認が、現場のオペレーションや利用者体験にどのように組み込まれるのかを確認し、将来的なサービス化や他領域への展開につなげることを目的としています。
次世代型チェックイン体験の様子と気づき
今回の実証では、実際に運用主体となるホテルの方から多くの意見を聞くことができました。テスト用の端末を用いて認証の流れを実際に体験してもらいながら、フロントスタッフやホテル担当者にヒアリングを行うことで、現場視点での気づきや期待、改善のヒントが数多く得られています。
印象的だったのは、チェックインのスピード感や操作のシンプルさに対する評価です。実際に体験した方からは、「端末の操作が簡単で思っていたよりも早く手続きが完了した」といった声が聞かれました。
チェックインに要する時間が短縮されることは、業務効率の観点だけでなく、宿泊客にとってのメリットにもつながっているようでした。
また、ホテル側からは、デジタルパスポートによる本人確認が進めば、将来的にはスマートフォン上でチェックインを完結させるなど、新しいチェックイン体験につながる可能性への期待も寄せられています。現場スタッフからは、「操作自体は直感的で、案内も十分に対応できそう」「慣れれば業務の流れに自然に組み込める」といった前向きな意見があがりました。
一方で、実証を通じて改善すべき点が見えてきたことも重要な成果の一つです。実際の業務や利用シーンを想定したときに調整が必要なポイントが具体化しました。
こうした課題は、机上での検討だけでは把握しにくく、現場での実証を行ったからこそ明らかになったものといえます。
次のフェーズに向けて
今回の実証での学びを踏まえ、2026年3月以降にはフェーズ2の実証を予定しています。次のフェーズでは、USEN-ALMEXが提供するオンライン事前チェックインサービス「PreCheck-in」*5とデジタルパスポートの連携を通じて、オンラインチェックインや、より実運用と同じ環境での検証を進めていく計画です。
日常の中で行われている認証の未来のあり方を模索し続ける、その取り組みの一端として、今回の実証が位置づけられています。
DNPは今後も、分散型IDの社会実装に向けて、さまざまなパートナーと連携しながら、実装を見据えた取り組みを進めていきます。
*5 オンライン事前チェックインサービスPreCheck-in:https://www.usen-almex.jp/hs/products/service/precheck-in.html
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