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2024.07.31

DNP×CINCA 大企業にスタートアップのマインドとスピード感を!【後編】|OneABスタジオ2024

DNP×CINCA 大企業にスタートアップのマインドとスピード感を!【後編】|OneABスタジオ2024
この記事はこんな人におすすめ
  • 新規事業創出に興味がある企業
  • 大企業との事業共創・オープンイノベーションに興味がある企業

“新規事業を同時多発的に生み出し続ける場所”というコンセプトのもと発足した、新規事業創出プログラム「OneABスタジオ」。当事者が語る、立ち上げに至るまでの背景や大企業における新規事業開発に対する思いとは――。

大日本印刷(以下、DNP)からOneABスタジオ発足メンバーである佐藤氏と金井氏、立ち上げ段階からご協力いただいている株式会社CINCA(以下、CINCA)から佐倉氏とセガワ氏、の4名にお話を伺ってきました。

本対談の様子を、前後編の2回に分けてお届けしており、今回はその【後編】です。

左からDNP佐藤氏、金井氏、CINCA佐倉氏、セガワ氏

株式会社CINCA とは
「レンタル新規事業室」を中心に、中堅・大手企業向けの“新規事業の立ち上げに特化”した支援サービスを展開。一般的なコンサルティングとは異なり、少額×短期間での事業検証をはじめ、新規事業立ち上げに必要なプロセスを、少人数のゼネラリストが泥臭く実行まで支援することに特徴。
会社HP:https://cinca.tokyo/

▼前回の記事はこちら
DNP×CINCA 大企業にスタートアップのマインドとスピード感を!【前編】|OneABスタジオ2024

目次:
Q5.再現性と属人性、新規事業開発おいてはどっちが大事?
Q6.DNPがCINCAと新規事業開発を進める理由は?
Q7.CINCAからみたDNPの強み・弱みは?
Q8.今後の展望や意気込みは?

Q5.再現性と属人性、新規事業開発おいてはどっちが大事?

佐倉(CINCA):再現性は最低限担保するものの、属人性がとにかく重要だと思っています。新規事業というのは、過去に誰かがうまくいかなかった不毛の地を開拓していかなければならないから“新規”なのであって、周りから批判されるのは当たり前。賛同は得られないし、営業しても断られるが、それでも何かあるかもしれないと信じて、仮説を持って進んでいくという力強さが、必ずどこかのフェーズで必要になり、それでもしつこくやっていった先にうまくいくこともある、という世界。どうしたって、やりきる力=思いを持った属人がいないと、最初のいくつかの関門で諦めてしまう。突き進めば本当は何かあったかもしれないのにやりきれない、というのは、仕組みではクリアできないものなので、やり切った先で事業が立ち上がるという意味で言うと、属人性がとても大事ですね。

金井(DNP):前に佐倉さんとお話ししていた中で出てきた、「プロセスをショートカットするための再現性や仕組みづくりはありつつも、最後は泥臭いっすよね」という言葉には、すごい共感していました。属人性といっても、“この社会課題を何が何でも解決するんだ!”という思いの強さというよりは、反脆弱性のような、困難にぶち当たってもかえってパフォーマンスが上がるといった属人性がないと頓挫するよな、という感覚です。

佐倉(CINCA):営業で例えると、完璧なトークスクリプト作って、「この通りに話してください」で、目標の8割くらいまでは成果出るかもしれない。でも最後あと1、2件積み上げられるかどうかって、気合とかあるじゃないですか。やるぞー!みたいな。(笑)

佐藤(DNP):すごく共感します。私は黎明期のスタートアップで副業していたことがあるのですが、会社が急成長していく中で、営業プロセスの再現性を高めるために型化を進めたところ、個人のオリジナリティや熱意といったバリューが失われていくというジレンマを感じていました。その最適解はまだ見えていないのですが、経営目線では再現性や効率化が必要な一方、実際の現場にはひとりの「個」がいるため、属人性や気持ちを担保しながら進めなければならない。経営判断として悩む部分だろうな、と思いながら佐倉さんのお話を聞いていました。

佐倉(CINCA):弊社の求人の募集要項に、まさにこの話が書いてあります。CINCAは、属人性が高く、再現性が低いと言われる新規事業立ち上げの再現性を高めることに挑戦している会社ですが、そのアプローチは新規事業立ち上げに必要な“行動”の定義とそれを実践できる人材の育成であり、従業員のスキル平準化やアウトプットの均質化による再現性ではないです、と。
“あなたがいないと事業が立ち上がらない”と言われるような属人性高く行動できる人材を、いかに多く育成していけるか、ここに力を入れています。

Q6.DNPがCINCAと新規事業開発を進める理由は?

金井(DNP):冒頭でもお話しましたが、DNPとしては新規事業開発において外部から様々な支援を受けてきた中で、実際の結果に結びつきにくいという課題を抱えていました。パートナー企業の支援内容が悪いという話ではなくて、上流戦略の策定や推進に必要な知識とノウハウのインプット、それらを定着させるためのプログラムの実施だけでは、実際に事業やプロダクトが生まれにくく、生まれてもそれが事業拡大する前にスタミナが切れてしまう、というケースに陥りやすく…。CINCAさんの提供するサービスや思想を聞いたときに、これであればDNPのカルチャーにフィットしつつ、現場の一人ひとりがちゃんとワーク出来るかもな、と思いました。

佐藤(DNP):そもそも2030年までに具体的な新規事業での売上目標がある中で、逆算して必要なアイデア数やPoC実施数、事業化件数などがあり、必要な数字は明確です。OneABスタジオとしては、“スタジオ”という名が示す通り、“事業化に向けて行動し続けられる環境”を整えたかった。その意味で、コンサルティングとは異なる、CINCAさんのハンズオンでの伴走支援やプロセスの仕組み化を追求している姿勢が、とても魅力的です。
あとは、ぶっちゃけると、金井さんという人の目利きを信頼していまして、金井さんが連れてきた会社だから良いんだろうな、という個人的な思いは半分ありました。(笑)

Q7.CINCAからみたDNPの強み・弱みは?

セガワ(CINCA):まず強みで言いますと、DNPは紙の印刷から始まり、今では印刷技術をコアに多角的に様々なサービスを展開されていて、ある種、新規事業のプロみたいなものではないかと思っています。そういった中で、柔軟性がとてもあるなと感じています。
OneABスタジオという取り組みを通して、組織を一緒に作っている最中ですが、チャットベースのライトなやり取りの中で方針変更に関わる話が出てきても、「いいですね、やってみましょう」という感じで、臨機応変な判断がなされやすい。近しい規模感の会社との取り組みでは、稟議を通すであるとか、関係各所への確認で1週間かかる、などが多いのですが、DNPではそれがないですね。

佐藤(DNP):その点に関しては、プロジェクトを立ち上げる際に経営層との事前の握りがどこまでしっかり出来ているかは重要だと思います。決裁者である経営層にプロジェクトの意義や目的、ROIや熱意をしっかり伝えて理解を頂けるかどうか、その熱量を持った事務局であるかは実は極めて重要だと思います。事務局が硬直的だと、都度上層部の顔色を伺いながら進めることになり、スピード感が出ないどころかボトルネックになります。我々メンバーは、完全に出来ているかは別にしても、非常に大切にしている価値観である事は間違いないです。

佐倉(CINCA):弱みとしては、OneABスタジオに参加されている方々の印象ですが、良くも悪くも、とても生真面目ですね。完璧主義な方が多いのかなと。新規事業開発は、基本的にはすべての材料が揃った状態で進めることはレアで、そんな状態でも自分の考えをもって突き進んでいく力が大事なのですが、皆さん全部揃えようとしがちで、相談しない傾向があります。もっと気軽に些細なことからでも周りに相談しながら進められると良いのにな、と。

金井(DNP):印刷会社って、校了もらって100%そのまま作ります、というところから出てきているので、20%で出すというようなことはあまりないですからね。一方で、アプリ開発企業は、最初から100%で出すなんてことはなく、リリース後にアップデートしていく前提だったりするので、業界・業態に社内カルチャーは引っ張られますよね。DNPで培ってきたやり方ではないところで、参加者のマインドや行動をどう変えていけるかは、まさにOneABスタジオでチャレンジしていることの一つです。

Q8.最後に、OneABスタジオの今後の展望や意気込みをお願いします!

佐藤(DNP):短期的には、今年度中に事業化2件と定めているので、それを絶対にやり切る。長期的には、社内のオーソライズはこれからですが、ABセンターという一部門内の活動からオールDNPの活動にしていきたいですね。ABセンターに限定してしまうと事業ドメインもICT系コトづくりに絞られ、3万人以上いるDNP社員の中の一部に留まりますが、オールDNPに広がれば、使えるリソースもノウハウも技術も増えるので、最終的には“オールDNPスタジオ”に昇華すれば、おのずと事業化できる件数も増えるし、質も上がっていくと思う。
この短期と長期の展望は持ってやっていきたいなと考えている。

金井(DNP):OneABスタジオから「OneDNPスタジオ」になれるように頑張りたい。また、今進めているプログラムだけでなくて、CVC(Corporate Venture Capital)のような機能だったり、より外で事業を動かしやすい組織体を作っていくところまで検討していきたいと考えています。

セガワ(CINCA):今回のOneABスタジオって、出島のようなひとつ独立した環境で、ある意味孤立している。そこで外の力を使っていきながら、実際に事業化を進めていくという事になるので、我々だけでなく、他の会社さんも交えて共創していきながら事業を立ち上げていく。外と中、外と外、どちらもパートナーシップを深めながらやっていくのが理想だなと思っています。

佐倉(CINCA):これから整えていく部分はあるものの、しっかりと体制が整っていて、推進している立場でありながらも、客観的に良い取り組みであると感じています。今後進めていく中で、大企業のアセットを使っていける良さが出てくるでしょうし、広がる未来が見えていてとてもワクワクしています。“ごっこ”ではなく、実際に事業を立ち上げて、数年後ふりかえったときに『この取り組み良かったね」と心から言い切れるよう、結果を出すことにこだわっていきたいと思っています。

今回は当事者の4名から、OneABスタジオ立ち上げの背景から始まり、新規事業開発に対する示唆に富んだ独自の見解まで、沢山の興味深いお話を聞く事が出来ました。

今後も、OneABスタジオに関する様々な情報を定期的に発信していきますので、是非ご注目ください!

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