「Ars Electronica Festival 2025」出展レポート
- 共創ツール/コラボレーション基盤を探している企業・団体
- 新規事業・サービス開発を担当している企業の方
2025年9月3日から7日までオーストリア・リンツで開催された世界的なメディアアートの祭典「Ars Electronica Festival 2025」にて、大日本印刷(DNP)から2度目の出展を行いました。
テーマは「PANIC – yes/no」。アート、テクノロジー、社会の繋がりを探求するこのフェスティバルにおいて、DNPは未来のコミュニケーションのあり方を提示するXR共創プロトタイプ「NeXus Print(ネクサスプリント)」を公開しました。
出展の核:「NeXus Print」が拓く共創の未来
今回のDNPの出展の中心となったのは、「NeXus Print」です。
これは、DNPがArs ElectronicaのR&D部門であるArs Electronica Futurelabと連携して進めてきた「XRコミュニケーション事業の未来」を探求するプロジェクトの一環として生み出されたプロトタイプです。
NeXus Printの革新性
「NeXus Print」は、生成AIを用いて、言語から3Dオブジェクトを生成することができ、XR技術によって、イメージ共有、合意形成が出来る新しい共創ツールです。①3Dオブジェクトの生成、②オブジェクトの配置・共有、③作り上げた世界にVRで没入、という3つのステップを繰り返し、ゼロからアイデアを創造しプロダクトを作り上げたり、既に存在するものを改善してあたらしい街づくりに役立てるような共創ができます。
- XRと生成AIを融合した「共創」プラットフォーム
NeXus Printは、XR(クロスリアリティ)技術と生成AIを組み合わせることで、多様なユーザーが創造的な共同設計を行えるツールです。参加者の想像力を目に見える形に変換し、新しいタイプの創造的な媒体として機能します。 - アイデアの視覚化と共通認識の形成
他者のアイデアをより鮮明に描き出し、共通の意思決定を行うための素早いプレビューを可能にします。これにより、グループ内での共通理解を深め、集合的なアイデア出しを促進します。 - AIの「ランダム性」を活かした創造フロー
AIが生成する結果のランダム性(予測不能性)は欠点ではなく、「創造的なフローを促進するもの」として設計されています。予期せぬ結果が対話を生み、新しいアイデアにつながるという特徴があります。 - 幅広い応用可能性
単なるデザインツールにとどまらず、建築や都市計画のプロトタイピング、教育現場での活用、さらにはリラクゼーションやエンターテインメント(物語作成など)まで、多岐にわたるユースケースが想定されています。
来場者・専門家との対話を通じて未来を掘り下げるプログラム
DNPは「NeXus Print」を単に展示するだけでなく、来場者や専門家との対話を通じて、その社会的インパクトと将来性を深く掘り下げる参加型プログラムを展開しました。
フェスティバル期間中、多くの来場者にプロトタイプを体験してもらい、以下の可能性が明らかになりました。
- AIの「意外性」が創造の鍵に
AIが生成する予測不能なイメージは、失敗ではなく「新しいアイデアの種」として歓迎されました。AIとの対話が、人間の想像力を広げることが実証されました。 - 直感的な操作と将来性
特に子どもたちが説明なしに直感的に操作していた姿が印象的でした。これは、将来この技術が誰でも使える「当たり前のツール」になり得る可能性を示しています。
一方で、大人を含む全ての人がスムーズに参加できるよう、ジェスチャー操作の簡素化やチュートリアルの充実といった課題も明確になりました。 - 広がる活用シーン
体験者からは、建築や都市計画といった「デザイン・設計」だけでなく、「教育」「リラクゼーション」「家族との遊び」など、生活を豊かにする多様な使い方が提案されました。
最後に
「Ars Electronica Festival 2025」での出展は、私たちにとってゴールではなく、新たなスタートラインでした。 会場で得られた世界中の人々からのフィードバック、そして「PANIC」を「Hope」へと変えるための数多くの対話。これらすべてを糧に、DNPは「NeXus Print」を単なる実験的なプロトタイプから、実社会で機能するプラットフォームへと進化させていきます。
都市開発、教育、あるいはまだ見ぬ領域へ。 DNPの「XRコミュニケーション事業」は、技術と対話のループを回しながら、社会実装に向けた開発を加速させてまいります。