「Ars Electronica Festival 2024」出展レポート
- 共創・オープンイノベーションに興味がある企業/研究機関
- XRや生成AIの社会実装・ユースケースを探している人
2024年9月4日から8日までオーストリア・リンツで開催された、世界的なメディアアートの祭典「Ars Electronica Festival 2024」にて、大日本印刷(DNP)より出展を行いました。
テーマは「HOPE – who will turn the tide(希望 – 誰が潮目を変えるのか)」。困難な時代の中で、私たちはどのような未来を築き、そのためにテクノロジーとアートがどう貢献できるのか、深く問いかける場となりました。
DNPは、2024年より「XRコミュニケーション事業の未来」をテーマにした新たな共同プロジェクトをArs ElectronicaのR&D部門であるArs Electronica Futurelabと共に開始。フェスティバルでは、その第一歩として、“XRの未来シナリオ”を基に未来社会について来場者や専門家と意見交換を行う対話プログラムを実施しました。
出展の核:XRコミュニケーション事業の未来を探るプロジェクト
今回のDNPの出展では、具体的なプロダクト展示ではなく、「未来の事業モデルを、アート思考を通じてグローバルに共創する」というプロセスそのものに焦点を当てた展示を行いました。
DNPは2021年より、リアルとバーチャルの融合による新しい体験と経済圏の創出を目指す「XRコミュニケーション®事業」を展開しています。2024年からは、本事業のさらなる深化に向け、世界的なクリエイティブ機関であるArs Electronica Futurelabとの協働を開始。アーティストや研究者の独創的な視点を取り入れ、「XRコミュニケーション事業の未来」をテーマとした革新的な新サービスの創出に挑戦しています。
プロジェクトの核:アート思考による価値探求
本プロジェクトは、単なる技術開発ではありません。アート思考を取り入れ、「XR技術が社会に提供できる本質的な価値は何か」を問い直すことから始まりました。DNPの持つ「高精細な画像処理・データ処理技術」を基盤としつつ、技術の実装以上に「社会的な意味」や「倫理的側面」に踏み込んだ議論を重ねています。
2035年の未来シナリオを描く
「XRは何のために、誰のためにあるのか?」「どのような“想像の余白”を生み出せるか?」 私たちは約3ヶ月にわたる議論を経て、2035年の社会を想像し、4つの未来仮説(シナリオ)を導き出しました。
- NeXus Print:共創・コラボレーション・シミュレーションの未来
- Xperience Print:特別な瞬間の感情や記憶を再体験する未来
- Xploration Print:移動や旅、探索の概念が拡張される未来
- Identity XPrint:自己表現とつながりが変化する未来
これらは、将来の私たちの暮らしや価値観を問い直す仮説となっています。
世界との対話で見えた「欧州のXR観」
Ars Electronica Festival 2024では、この仮説を基に世界中の専門家や来場者と対話を行いました。
特に印象的だったのは、パネルディスカッション「NeXus Forum」で得られた欧州の視点です。彼らにとってXRとは、単なる仮想空間体験ではなく、「身体性を伴う没入」や「感情の共有」を通じて他者理解を深める手段でした。また、来場者参加型リサーチ「NeXus Open Research」では、49名の参加者から「物理的制約の解消」や「意思決定の補助」といった具体的な期待が寄せられました。
「HOPE」を共創する次なるフェーズへ
フェスティバルのテーマ「HOPE(希望)」は、誰かが変えてくれるのを待つのではなく、自ら行動することを求めています。DNPはこの学びを活かし、次なるフェーズとして生成AIとXRを融合した共創プラットフォーム「NeXus Print」の開発に着手しました。各々が考えるアイデアを「Co-imagination(ゼロから創造)」または「Re-imagination(再構成)」し共有できるこのシステムは、都市開発や地域課題などの解決も見据えています。
DNPはこれからも、対話と技術の力で、社会に「未来シナリオ」を実装していきます。