地域密着型ワークスペース|三重明和インキュベーションセンターが地域・企業間交流で目指す地方創生とは
- 地域課題のソリューションを持つ企業
- 地方を拠点にビジネスに取り組みたい企業
- 三重県にIターン・Uターンを考えている方
2022年8月にDNPは協業企業と共に一般社団法人三重広域DXプラットフォームを設立。デジタル技術を活用し地方創生活動を推進する「デジタル田園都市国家構想・三重広域連携モデル」の運営に取り組んでいます。その活動の一つとして、三重県明和町に2023年1月に新しく複合型サテライトオフィス「三重明和インキュベーションセンター」を開設。起業の支援、多様な働き方の推進、世代を超えた地域の交流を目的に「めいわの人・情報のスクランブル交差点」を掲げています。
今回はDNP モビリティ事業部新事業開発部の松浪琢也氏から設立の背景と、地方創生への思いをお伺いしました。
人と情報の交流を目的としたサテライトオフィスから明和町の地方創生を目指す
ー三重明和インキュベーションセンター設立の背景を教えてください。
松浪:デジタル田園都市国家構想にて採択された「三重広域連携モデル」におけるスマートシティ事業が始まり、自治体と連携をする企業が三重の中南エリアに集まる機会が増えました。しかし、仕事をする場所やWi-Fiなどの設備、会議室の不足が課題でした。その課題解決のため明和町が手を上げ、ビジネスパーソンや地域住民が集まり、情報のスクランブル交差点となるような施設として三重明和インキュベーションセンターを開設しました。
DNPは施設に必要なソフトの部分を担当し、入居者の利用や地域との関わり方などの仕組み作りを担いました。また、もう一つの設立の背景として、三重広域連携モデルに関わる企業の利用も促進することで、地域との交流が増え、地域課題の発見がしやすい環境を作りたいと考えました。
現在の利用会員は10社ほどです。DNPのような三重での地方創生に取り組む都内の企業や、東海エリアを拠点としてリモートワークを採用している企業、地元の企業・フリーランスの方 などが入居しています。
ー施設の特徴やこだわりを教えてください。
松浪:もともとアパレル店舗だった場所をリノベーションしています。テレワークブースは試着室を利用しているので、アパレルの名残があり、全体としてもお洒落な空間と好評です。また、できるだけ壁を作らずに視界が開けた空間にして、フリーの席を多く作りました。利用者同士の交流が生まれ、協業に繋がって欲しいという思いが込められています。入り口の目の前にある芝生のスペースは、地域住民の方々にも気軽にお立ち寄りいただけるオープンなエリアです。
BUNSUNの方の働き方がフリーランスに近しいと感じており、企業に限定した印象にならないよう「フリーランス」を含めています。
松浪:明和町やその周辺ではWi-Fiが完備された作業環境が少なく、リモートワークをしている方たちからはとても助かっているという声をお聞きします。
ー協業を支援するための入居者同士の交流会やイベントなどはありますか。
松浪:入居している企業や自治体からもご要望が多く、情報交換や協業のマッチングを目的とした交流会を予定しています。すでに三重明和インキュベーションセンターでの出会いをきっかけに、仕事に繋がった方もいらっしゃり、こういった交流機会をたくさん創出していきたいと考えています。
ーオープンから半年ほど経ちました。いま現在の課題はありますか。
松浪:三重明和インキュベーションセンターのプロジェクト開始から3年間は交付金を活用して運営を行いますが、交付期間の終了後は自走しなければいけません。ビジネスとして成り立たせるために、様々なプロジェクトを起こしていきたいです。構想の一つとして、東京や名古屋などの都市で活躍する企業に三重明和インキュベーションセンターを訪れていただき、学びを得られる仕組みを考えています。また、NFTやクラウドファンディングを活用して、運営費を得る仕組みも検討中です。オンライン、オフラインどちらも活用して、場所にとらわれず地域還元が成り立つ仕組みを目指しています。
ーどのような企業に入居していただきたいですか。
松浪:地域課題の解決に繋がるソリューションを持つ企業や、地方創生に取り組むスタートアップにぜひご検討いただきたいです。例えば、明和町の農家、事業者、大学の研究室がタッグを組み、地元の農産物を使った新商品を開発したり、明和町の事業を活かして相乗効果を生むようなプロジェクトを実現したいという思いがあります。
ー三重明和インキュベーションセンターの今後の展望を教えてください。
松浪:若い人たちが関わるイベントを企画して明和町全体が盛り上がるような取り組みをしていきたいですね。近隣の高校と連携して、高校生がプロジェクトを起こすような企画も考え中です。 DNPとしてはまち全体を盛り上げるために、三重明和インキュベーションセンターを拠点に交流や共創のきっかけをたくさん提供していきたいです。
新たなビジネスチャンスを求める入居者の声
株式会社PIECE WAVE Lab 有賀 章浩さん
2023年4月に入居した有賀さんは明和町出身。松阪市で店舗集客サポート事業を行い、愛知・三重を中心に関東・関西含めパートナー会社と提携し事業を展開しています。入居をきっかけに三重広域連携事業に関わる企業との交流も深まり、VISONへの店舗出店も目指しているそうです。
「故郷の明和町に事業の拠点を置きたいと考えたときに、三重明和町インキュベーションセンターの開設を知り入居を決めました。実証実験などチャレンジができる、クリエイティブな環境で、協業による事業の伸び代を実感しています。
入居者のみなさんもご自身のビジネスや明和町の地方創生への志が高く、お話していてとても楽しいです。事業者や地域の方との交流がさらに増えると嬉しいですね。また、明和町に対して直接提案することができるので、新しいビジネスチャンスの可能性もあると感じています。DNPをはじめとする三重広域連携モデルに関わる企業との協業により、さらに地方創生が推進できるのではないかと期待しています。」
株式会社BUNSAN:川合将平さん、瑠那さん
ご夫婦で動画編集の事業を行うBUNSANは将平さんが明和町出身、瑠那さんも三重県出身です。フリーランスに転身したことがきっかけで明和町へUターンをしました。
「仕事はオンライン中心なので、地方移住が可能になり明和町へUターンをしました。フリーランスや起業家との繋がりを求めて三重明和インキュベーションに入居しました。現在は週4〜5日利用しています。
2023年3月に入居して、たくさんの出会いが生まれました。今日もこの取材をきっかけに有賀さんと知り合い、お互いの事業について紹介し合い、なにか一緒にできることがないかと話が弾みました。さらに会員同士のコミュニケーションが増えることで新しいビジネスのきっかけが生まれるのではないかと感じています。
また、入居したことで行政とのつながりもできました。行政や企業との繋がりによって仕事が生まれることで、明和町へのUターン・Iターンも増えるのではないでしょうか。三重明和インキュベーションセンターは明和町のショッピングモール敷地内の便利な場所にあるので、ぜひ気軽に訪れてみてほしいです。」
三重明和インキュベーションセンターは、今後も協業のための交流やプロジェクトを企画しています。地域課題に対するソリューションを持つ企業、地方を拠点にビジネスに取り組みたい企業やフリーランスの方はぜひお問い合わせください。
*三重明和インキュベーションセンターのご利用に関するお問合わせはコチラ
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