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2022.10.05
  • CO-CREATION

【共創事例】ギフティング型のデジタル応援幕でアスリートを支援、DNPとMGスポーツが目指す「夢と自信」を与える応援とは

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DNPはスポーツ産業の振興や課題解決に取り組んでおり、2021年からデジタル応援幕でアスリートを支援するギフティングサービス「チアスタ!」を展開しています。今回はチアスタ!を活用したスポーツ推進の協業について、MGスポーツ株式会社とDNPの担当者に、両社の取り組みやマイナースポーツや学生スポーツの支援にかける思いを伺いました。

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(中央:MGスポーツ株式会社 ソリューションプロデューサー 鈴木康藏氏、右:DNP ABセンターデータ流通事業開発ユニットスポーツ事業推進部 上松桃子氏、左:井手上沙葉子氏)

アスリートとサポーターが持続的に使えるギフティングサービス「チアスタ!」

ーDNPが運営する「CHEER-FULL STADIUM チアスタ!」について教えてください。

上松:スポーツビジネスにも様々な形がありますが、主に夢に向かって挑戦し続けるアスリートの支援やチームの経営支援を課題解決の一つと捉え、開発したサービスが「CHEER-FULL STADIUM チアスタ!(以下、チアスタ!)」です。

 

チアスタ!はアスリートとそのアスリートを応援したいサポーターを繋ぐWebサービスで、アスリートはチアスタ!を通じて情報を発信し、サポーターは課金をしてデジタル応援幕を作ることで応援ができるという双方向的なコミュニケーションを可能にしました。2021年の夏にプレリリースをして、11月から本格的に提供を開始しています。

 

チアスタ!の大きな特徴は、ギフティング機能によってアスリート応援の可視化、資金化を実現している点です。サポーターがテンプレートやスタンプといったアイテムなどを購入してオリジナルのデジタル応援幕を作成し、応援したい選手に送ることで、その一部が選手に活動資金として還元される仕組みになっています。

ーなぜアスリート支援においてギフティングサービスの形が実現したのでしょうか?

上松:経済的な理由で競技を続ける夢を諦めたり、赤字経営でサポーターへの還元施策の実施がなかなか難しかったりと、特にマイナースポーツにおいて資金的な課題を抱えるチーム・選手は多く存在しています。彼らへの支援を実現する形として、企業協賛だけではなく、日頃スポーツから感動をもらっている生活者一人ひとりがマイクロスポンサーとなってアスリートを応援できたらと考え、チアスタ!の仕組みが誕生しました。

 

じつはチアスタ!は、社内のビジネスコンテストを通過したことで事業化が実現したサービスです。私はスポーツに関わる業務への部署異動をきっかけに、スポーツが生む熱狂や感動のエネルギーを体感するようになり、スポーツビジネスの知見を深めるために早稲田大学の「スポーツMBA Essense」というプログラムに通ったんです。そこで考えたのがチアスタ!の種となるアイデアでした。何とかして形にしたいと温め続けていたところでコンテストの機会を知り、DNPで実現するために再度企画をして、事業化の検討に進むことができました。

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ー実際にどのような形でマイナースポーツの課題を解決していますか?

井手上:マイナースポーツのチーム・選手が活動資金を集める手段には、クラウドファンディングなどの既存サービスもありますが、長期的な資金調達の継続が難しいという課題がありました。それを踏まえ、チアスタ!ではアスリートの活動発信の場や、サポーターとのコミュニケーションの機会を継続的につくることで、いつでもどこにいてもデジタル応援幕を通じてアスリートにギフティングができるという、中長期的に資金調達を実現する形を目指しています。

上松:ファンやサポーターの課題でいうと、アスリートを応援したくても、特にマイナースポーツや個人競技などは選手情報や試合情報が少なかったり、グッズ販売がなされておらず、購入して貢献することが難しかったりと、応援する選択肢が少ない現状があります。一方でアスリート側からは、たとえば飲食物の提供という形で応援を受けた際には、リスクを鑑み断らなければならないことも多く心苦しいといった声がありました。

このような課題に対して、チアスタ!を通すことでサポーターは持続的に情報を得て応援する手段が守られ、アスリートは気持ちのいい形で応援を受け取ることができます。双方が長く使い続けられる安心・安全なサービスを提供することで、スポーツ応援の課題解決に繋がると感じています。

デジタル応援幕×リアルな反応で学生スポーツの応援文化を醸成

ーMGスポーツ社ではどのようなスポーツ支援を展開していますか?

鈴木:MGスポーツは放送局が持つアセットを活用して、スポーツコンテンツの価値を広めて盛り上げていこうという思いで設立されました。マイナースポーツや学生スポーツなど幅広い団体に寄り添いながら、新しいコンテンツ開発・展開の支援をしています。

その中で、僕は主に学生スポーツの領域を担当しています。大学スポーツはまさに変革期にあり、単なる課外活動とされてきたスポーツを教育の一環として捉えるようになっています。一方で、学生スポーツを盛り上げるには「学生が学生を応援する」文化を醸成していく必要があります。その手段を模索する中でチアスタ!に出会ったのが、昨年のことでした。

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ーDNPのチアスタ!と協業に至った経緯を教えてください。

鈴木:大阪のスポーツテックイベントでDNPさんのチアスタ!を知り、直感で惹かれました。元々学生スポーツには応援幕文化があり、「山本くん頑張れ」のような垂れ幕を会場に飾って選手を応援していたんです。その文化が薄れてきた今、スマホで簡単にデジタル応援幕を作れるチアスタ!に大きなポテンシャルを感じ、困っているアスリートの支援という目的も我々の活動と一致していたため、出会って一ヶ月後にはコラボレーションの話が進んでいましたね。

井手上:チアスタ!をリリースしてからは、サービス自体の認知に加えてアスリートとサポーターの両方に届く施策を日々考えていたところでした。その中で、MGスポーツさんと一緒にチアスタ!を使ってスポーツイベントを盛り上げるなど、形にできる機会を作れたことはとても嬉しく思います。

ーチアスタ!とMGスポーツのコラボ企画ではどういった取り組みが展開されたのでしょうか?

井手上:早速、昨年秋に関西学生アメリカンフットボールDiv.1リーグで、今年の春には総合関関戦でのコラボ企画が実現しました。アメフト企画では、Div.1の関西8大学のチームにチアスタ!で試合に向けた想いを発信をしていただいたり、各大学のチームロゴなどをデジタル応援幕のアイテムとして用意したところ、父母会やOBOG会、学生アメフトファンなどからロイヤルティの高いメッセージ付きの応援幕がたくさん届きました。

 

試合当日はそれらのデジタル応援幕をスタジアムのビジョンに投影して、会場全体で見られるようにしました。熱いメッセージやユニークな応援幕が映るたびに、会場もどんどん盛り上がっていったんです。

春の総合関関戦では、MGスポーツさんのWebメディア「SPORA」と連携して情報発信をしたり、チアスタ!の公式SNSでコラボ企画について発信したものを各大学のチーム・選手のアカウントから次々とシェアいただいたことで、過去最高のエンゲージメント率となりました。

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ー両社のコラボ企画で成果を感じた瞬間を教えてください。

鈴木:コロナ禍で会場に来られないファンも多く、応援幕を会場に持ち込むことも躊躇されていたので、チアスタ!のサービスがフィットしたと感じています。ビジョンに映ったデジタル応援幕には、遠方に住む選手のお母さん一同やOB会によるものもあり、会場にあたたかい笑いが起きたりもしました。Webサービスだと選手自身にしか見られないメッセージも、リアルイベントと連動することでより多くの人に伝わるという気付きもありました。

上松:今回の取り組みにより、チアスタ!をバーチャルからリアルへと大きく広げる一歩が実現しました。デジタル応援幕というモチーフがあるからこそ多様なアウトプットができると感じたことは大きな成果です。

現在、チアスタ!のユーザー層は30代が一番多く、40代、20代と続きます。親世代やOBOG世代の熱い盛り上がりに加え、今後はより若い層のギフティングサービス利用に向けて、イベントやコラボ企画を通してMGスポーツさんと一緒に訴求していけたらと思います。

アスリートが夢と自信を持ってスポーツを続けられる世界へ

ー今後の取り組みの展望や、互いへの期待を聞かせてください。

上松:学生スポーツの活性化はチアスタ!運営の柱の一つでもあるため、MGスポーツさんと連携しながら新たな応援の形を開発していきたいですね。また、競技に留まらないアスリートの活動も応援していきたいです。スポーツを通じて知った社会課題に取り組みたい、地元に還元したいというアスリートや学生は少なくありません。そういった活動にスポットライトを当てるなど、支援の仕組みづくりでお互いに組める要素はまだまだあると期待しています。

井手上:今後は会場に足を運ぶ機会が増えることを見据えると、自分がデジタルで作った応援幕を持って現地で応援できるようにするなど、リアル×バーチャルの施策をより多様な形で実現していきたいと考えています。まさに学生スポーツでの応援幕文化を盛り返していく橋渡しに、このチアスタ!がなるといいなと思っています。

最近だと、チアリーディングやダンスをやる方から「自分をアスリートと名乗ってよいのか」といった悩みを聞いたり、「eスポーツは該当するか」といったお問い合わせをいただくこともあります。表舞台の裏で厳しい努力を積み重ねてきた方々は確実にアスリートであると考えていますし、チアスタ!の中で仲間を見つけられることもあるので、このサービスを通じてアスリートの方々が自信を持てる状態をつくれたらよいですよね。

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鈴木:実際にチアスタ!で応援が可視化されると、選手は自覚を促されると思うんです。周囲やファンの気持ちを形として受け取ることで、自分はこんなにも周りにサポートしてもらっていて、そのおかげでスポーツをできる環境にいるんだとか、人に影響を与える立場と責任を再認識して、感謝の気持ちを持つ。それが学生スポーツの質を最終的に上げていくでしょうし、チアスタ!はそのきっかけになると考えています。

大学に進学しても、費用面でスポーツの継続を断念する学生は少なくありません。今後チアスタ!のギフティングサービスが上手く機能していくことで、学生の負担をゼロに近づけていけるのではないでしょうか。クラウドファンディングが徐々に世の中に浸透したように、ギフティングサービスもこれからだと思います。メディアである僕たちがさらにアウトプットして、新たな応援の形を一緒に盛り上げていきたいですね。

ー最後に、今後もDNPがスポーツビジネスを応援していくにあたり、皆さんの意気込みをお願いします。

上松:DNPは人と社会をつなぎ、新しい価値を提供することを掲げ、もともとの印刷技術を発展させながら、あらゆる業界への課題解決を支援することで大きくなった企業です。さまざまなコミュニケーションを形にする技術を強みに、社会やスポーツ産業に課題があるならば解決策を提供していくべきだと考えています。私たちはスポーツが社会に対して与える感動や価値を、DNPのアセット活用と他社との協業によって広げていきたいと強く思っています。

井手上:私たちスポーツ事業推進部のメンバーは全員、感動を与えてくれるスポーツやアスリートへの「リスペクト」を持っていると感じています。夢に向かって挑戦するアスリートの力になるには何が必要か、自分たちに何ができるのかを日々考え動いているので、今後サービス展開を続けていく上でもこの想いは大事な軸として持ち続けていきたいです。

鈴木:スポーツビジネスに携わっていると、必ずしも自身がスポーツを続けてきたわけではなく単純に応援するのが好きでやっている人が意外と多いと感じます。実はそれが一番大事な部分で、スポーツを楽しむ人たちをどう増やすかという応援する側の発想ができますし、アスリートやチームをどうサポートしていこうかという思いを膨らませることで、柔軟にスポーツマーケットを拡げていけると信じています。

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ー本日はどうもありがとうございました。今後のチアスタや両社のスポーツ事業推進の取り組みについて、本サイトでも発信し続けていきます!