NEC Innovation Challenge 2024に参画したDNP。いま、オープンイノベーションの最前線で感じることとは?
- 大企業との連携による共創プログラムにご興味のある方
- 新規事業の創出にご興味のある方
- 国内だけでなく、海外のスタートアップとのアクセラレーションにご興味のある方
- 大企業のイノベーション実績にご興味のある方
市場ニーズや技術進化などの外的環境がめまぐるしく変化する現代において、企業がオープンイノベーションに取り組む重要性は日々増しています。2024年、DNPは新たな挑戦として、日本電気株式会社(NEC)が主催するグローバルアクセラレータープログラム「NEC Innovation Challenge 2024」に、プラチナパートナーとして参画。現在、2025年2月の最終審査へ向けて取り組みを進めています。NECとDNP、そしてアビームコンサルティング株式会社の三社による取り組みの現状とその展望について、各社のキーパーソンが対談を行いました。
NEC Innovation Challengeとは
共創型イノベーションを推進するNECが主催する、アクセラレータープログラム。NECと協賛企業のアセットを活用し、世界中のスタートアップ企業と共同事業を創出することを目指しています。2022年度に始まった本プログラムには、毎年世界各国から多数のスタートアップ企業が参加。DNPは2024年度の「NEC Innovation Challenge 2024」に、自社アセットの提供を前提としてプラチナパートナーとして参画しています。
公式ウェブサイト:NEC Innovation Challenge 2024
出席いただいた方
- NEC(グローバルイノベーションビジネスユニット) 塙智志 氏 <左から3人目>
- NEC(グローバルイノベーションビジネスユニット) 永井優美 氏 <左から4人目>
- アビームコンサルティング(未来価値創造戦略ユニット) 南雄介 氏 <左から5人目>
- アビームコンサルティング(未来価値創造戦略ユニット) 玉谷瑛祐 氏 <左から6人目>
- DNP(情報イノベーション事業部事業企画本部)高林孝幸 <左から1人目>
- DNP(マーケティング本部未来社会デザインユニットビジネス・インキュベーション部)長山泰祐 <左から2人目>
【目次】
- Q1. NEC Innovation Challengeを立ち上げた経緯と、三社の役割は?
- Q2. DNPがプラチナパートナーに選定された経緯を教えてください。
- Q3. 現在進行中のNEC Innovation Challenge 2024、進捗は?
- Q4. 協業によって感じたカルチャーの違いはありましたか?
- Q5. NEC Innovation Challenge 2024終了後も含めた、今後の展望は?
Q1. NEC Innovation Challengeを立ち上げた経緯と、三社の役割は?
塙(NEC):
NECは技術を軸に事業を作ってきた企業で、「なんでも自分たちでやれる」という自負があります。ただ、社内のアセットのみで進めて時間がかかりすぎてしまうことは望ましくなく、スピード感を高めるためには「脱自前主義」が課題となっていました。内製するべき部分と社外の力を借りるべき部分を見極めながら事業を進める事例を作っていきたいという思いがあり、NEC Innovation Challengeの立ち上げに至りました。
DNPさんやその他の協賛企業様にも関わっていただき、企業やスタートアップが相互に連携して、新しい価値を創出していくためのネットワークを構築できる「エコシステム型」のプログラムを推進できれば、と考えています。
南(アビーム):
コンサルティングファームの視点から社会的な背景をお話ししますと、ファンドレイジングや補助金などによりスタートアップが一過的な資金を得る機会は少なくありませんが、実際に事業を創出することは依然として難易度が高いのが現状です。そのような状況下で、DNPさんやNECのような確かな技術力や産業基盤をもつ日本の大企業は多くのスタートアップにとって魅力的な協業相手となっているため、本プログラムへの注目度は高いです。日本側からみても、グローバルな視点でスタートアップとの連携を模索することは、今後ますます重要になってくると認識しています。
塙(NEC):
三社の役割分担については、まず私たちNECがプログラム全体のホスト役で、アビームコンサルティングはNECグループの一員としてPMOの立場で参画しています。具体的にはプログラムの運営や企画立案のサポートに加え、実際のビジネス構築に向けた事業アイデアの創出支援や伴走支援も行っています。
そしてDNPさんは、今年度から新たな試みであるプラチナパートナーという立場で参画いただいています。プラチナパートナーとは、他の協賛企業様よりも深く議論に入っていただき、当社と一緒にプログラムを推進していく重要な役割。私たちが目指すエコシステム型のスキームを強化する意味でも、この試みは重要だと捉えています。
高林(DNP):
責任重大ですが、DNPの様々な事業領域における知見やネットワークを活用してプログラムを盛り上げていきたいと思っています。
Q2. DNPがプラチナパートナーに選定された経緯を教えてください。
塙(NEC):
事業共創の際にアセットが重複しすぎていると競合などの問題が起こってしまいますが、DNPさんとNECは異なるアセットが多く、理想的な補完関係のバランスになりそうだという手応えがありました。お話をさせていただくなかでマインドに共通するものを感じましたし、プラチナパートナーとして入っていただくことで、協業の可能性がより高まっていくのではと期待しています。
高林(DNP):
以前から社内でも事業創出のプログラムに取り組んでいるなかで、社外との共創の必要性を感じていましたので、参画を決めました。数年前からつながりがあった塙さんからこのプログラムのお話を伺い、オールDNPのフィールドで活動しているマーケティング本部の長山を紹介したという形です。
長山(DNP):
DNPの社内でもすでにビジネスコンテストのような形のプログラムを実施していて、3か月で500件以上のアイデアが集まってきたりするのですが、これらは社内に限定されたものです。これに対し今回のNEC Innovation Challengeは「スタートアップのアイデア起点で、新たな協業仮説を検討する」というコンセプトで、現在のDNPに必要な視点と感じました。
塙(NEC):
具体的なアクションとしては、DNPさんとNECそれぞれが持つアセットを活かせる事業領域を探ることから始めました。その手法として今回新たに試してみたのが、初期段階から両社の事業部門の担当者同士を引き合わせたこと。より現場に近いところからディスカッションをはじめることでスピード感やリアリティを高め、「ヘルスケア」「サステナビリティ」「現場業務DX」「メディア/エンタメ」の4テーマに絞っていきました。
長山(DNP):
テーマ選定は非常に苦労した部分でした。特に社内の事業部門からリクエストを引き出すのに苦心しましたね。
高林(DNP):
もしかしたらNECさんも初年度に同じような課題感をもたれたのかもしれませんが、私たちは後発なので、今この課題に直面しています。広報活動やネットワーク作りで社内にも認知を広める重要性を実感しています。
Q3. 現在進行中のNEC Innovation Challenge2024、進捗は?
塙(NEC):
現在は、1次審査が完了しようとしている段階で、この後は通過したスタートアップのメンタリングと最終審査が控えています。応募数は初年度の300件から、2年目は500件、そして今年度は700件まで増加しました。1次審査ではスタートアップから提出された資料を評価し、2次審査に進む20~30社を選ぶ作業を行うのですが、想定以上の応募をいただき非常に大変な作業となりました。嬉しい悲鳴ですね。
長山(DNP):
ある種のセレンディピティと言いますか、想定外のスタートアップとの出会いをきっかけに各社のアセットを掛け合わせるとどのような社会的価値を生み出せるのか。そうした目線が新鮮で、ワクワクしています。また、柔軟かつロジカルに協業仮説を検討していくNECさんの進め方には大いに刺激を受けています。
永井(NEC):
応募いただいたスタートアップの地域としては、アフリカが多かったです。どの企業もグローバル進出への意欲が非常に高いのが印象的でした。また、インドや東南アジア、北米、ヨーロッパ圏からも多くの応募がありました。
事業のフェーズに関連する部分では、本プログラムは基本的に実績がすでにあるスタートアップを対象としていますが、まだシード期やアーリー期のスタートアップからの応募も多数ありました。これらは可能性を探りきれないことも多いのですが、事業部門で個別に検討するケースもわずかながらあります。
玉谷(アビーム):
ESGレポーティングや不妊治療など、共通のテーマ・課題にアプローチしているスタートアップが多くあり、取り組むテーマが似通っているなかで付加価値をどうつけるか、どう差別化するかはスタートアップの皆さんも悩まれているところなのかなと感じています。ほかには、日本市場を想定して高齢者ケアのソリューションを提案するなど、まずは日本を足がかりにアジア展開を目指すスタートアップも印象的でした。スタートアップ共創においては、大企業側だけでなく、スタートアップにとってもメリットがあることが重要なので、双方の目指す姿を話し合いながら進めていくことがこの取り組みの成功要因であると考えています。
Q4.協業によって感じたカルチャーの違いはありましたか?
高林(DNP):
NECさん、アビームコンサルティングさんともに非常にスマートだという印象ですね。ロジカルで、物事の進め方や言葉の選び方が洗練されている。我々が見落としがちな点についても丁寧に指摘していただけますし、意見交換も常に建設的です。また、アビームコンサルティングさんのファシリテーションは素晴らしく、スタートアップのピッチを聞く際のコミュニケーションスキルの高さに驚かされます。的確で洞察力のあるコメントや提案をいただける点も、大変参考になります。
南(アビーム):
スマートだと評価いただきましたが、実はオープンイノベーションの領域では、DNPさんのように情熱的かつ思い切りよく進める姿勢がプロジェクトを加速させる事例も少なくありません。評価する側がロジカルでシステムが完成され過ぎていると、それゆえに逆に苦労するという場合もあって。DNPさんのように「これを一緒にやりたいんだ」というパッションを強く打ち出せるのは、大きな魅力だと感じています。
永井(NEC):
私は今年からこのプロジェクトに参加していますが、どれだけプロジェクトの規模が大きくなっても、人と人とのつながりが非常に重要なんだと実感しています。高林さんと塙が元々知り合いで、というお話が先ほどあったと思うのですが、実際に二人の信頼関係や熱量が生きているシーンは多いですね。
このプログラムは4つのテーマごとにDNPさんとNECの両社からリーダーが選出されているのですが、個人的に少し思うのは、両社のリーダー同士にまだちょっと距離があるというか、遠慮があるというか……。どこかで彼らの関係性を深める機会を作ることで、さらに何か生まれるものがあるのかもしれない、と感じます。
Q5. NEC Innovation Challenge 2024終了後も含めた、今後の展望は?
塙(NEC):
まずは現在進行中のプログラムを成功に導くことを目指していますが、エコシステム型でやる、という運営方式をもっと洗練させていきたいですね。
永井(NEC):
エコシステム型を目指して協業することで入り口は広がったのですが、DNPさんとNEC、スタートアップの三者が交わる部分を探っていくと出口が狭まってしまう、というアンビバレンツがあります。その解消が今後の課題なので、ピンポイントを狙いにいく部分もありつつ、その周辺も含めた可能性をオープンにディスカッションしていきたいと考えています。その意味では、多彩な事業部門があり、常に生活者の目線に近い部分で取り組まれているDNPさんには大いに期待しています。
塙(NEC):
将来的には他の協賛企業様にも参画いただき、予期せぬ協業が生まれるようなエコシステムを構築していきたいと考えています。場合によっては、最初はDNPさんと他の企業様が先行して協業を始め、当社はタイミングを見て後からジョインさせていただくとか。そうした多様な協業がそこかしこで起こるスキームにしていけるといいなと思います。
高林(DNP):
スタートアップと社内の事業部門の双方に真摯に向き合い、根気よくビジネスを構築していくNECさんの姿に、大いに刺激を受けています。このような取り組みは2年、3年と続けていくことでより大きな価値が生まれると思いますので、私たちも長期的な視点を持ち、取り組んでいきたいです。
長山(DNP):
まだプロジェクトは進行中ではありますが、“グローバルでオープンイノベーション”というコンセプトに、リスク以上の可能性を実感しています。現時点での当社は、NECさんほど事業部の理解が得られていない部分もありますが、ご指摘いただいたエモーショナルな突破力も含め、DNPならではのエコシステムをつくりあげていく参考にさせていただければと考えています。
今回は各社のキーパーソンとなる6名から、プログラム立ち上げのきっかけにはじまり、協業で生まれるシナジーや今後の展望まで幅広くお話を聞くことができました。
今後もDNPのオープンイノベーションに関する情報を発信していきますので、ぜひご注目ください!
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※2024年11月29日時点の情報です
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