スタートアップとの伴走、事業共創で ビジネスの未来を切り拓く|SmartESGの導入への道のり
- 大企業とスタートアップの共創事例に興味がある方
- ESG×テクノロジーのビジネスの可能性について知りたい方
DNPはサステナビリティ推進体制のさらなる強化を目指し、ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視したSDGsの達成に貢献する新しい価値創造に取り組んでいます。2022年12月にはシェルパ・アンド・カンパニー株式会社(以下シェルパ)が開発・運営するESG情報開示支援クラウド「SmartESG」を導入し、ESG情報開示に注力しています。SmartESGの導入過程では、スタートアップであるシェルパに寄り添ったフィードバックを行うかたちで共創し、さらなる機能改善を行いました。今回は、DNPマーケティング本部もたい五郎氏とシェルパCEO杉本淳氏にSmartESG導入の背景や共創についてお話を伺います。
シェルパ・アンド・カンパニーとの出会いで認識したESG情報開示の価値
-持続的な事業価値の創出を目指すDNPの3か年中期経営計画において、パートナーとの共創について教えてください。
もたい:中期経営計画にも挙げられているのは、DNPが注力している事業領域への集中投資と事業構造改革の推進です。DNPの強みである印刷(Printing)と情報(Information)「P&I」を活かし、さまざまなパートナー企業との共創を戦略として掲げています。DNPが新規事業に取り組むためには、ユニークな技術やビジネスモデルを持つスタートアップとの共創が必要です。私たちは社外の方々と接点を持ち、事業の課題を持つ社内部署と繋ぎ、新規事業を生み出す役割を担っています。
もたい:2021年12月にベンチャーキャピタルを通じて、シェルパの存在を知りました。その後、杉本さんからESG情報開示の価値やプロセス、市場の状況についてご紹介を受け、大企業向けのサービスとしても、DNPの共創パートナーとしても可能性がある と感じました。
杉本:SmartESGは、様々な企業にESG開示業務の課題をヒアリングしながら開発を行ってきました。特に、DNPの持つ課題は我々が提供するソリューションとの親和性が高いと感じ、ユーザー視点でのフィードバックをお願いしました。DNPはサステナビリティ経営の意識が高く、全社的に取り組んでおられます。2022年11月に正式版をリリースしたばかりの我々のサービスに対して、参考になるフィードバックを様々な観点からいただくことができました。
-シェルパ・アンド・カンパニーがESG領域に着目した理由を教えてください。
杉本:私は前職で金融機関に勤務しており、M&Aや資金調達、アドバイザリー業務などの財務的観点から企業価値の向上に取り組んでいました。当時、担当していた企業のとある事業が地球環境に大きな影響を及ぼす可能性があるとして、ESG観点からアセットの売却を検討したことがありました 。その際に、これからはESGの非財務的な企業価値向上のニーズが高まるだろうと感じたことが、現在の事業のアイデアに繋がっています。
弊社は「サステナビリティとテクノロジーをすべての経済活動の”あたりまえ”に。」というパーパスを掲げています。テクノロジーを活用することで企業のサステナビリティを促進し、持続可能な社会作りに貢献したいです。
-現在のESG市場の状況を教えてください。
杉本:日本では、2023年から上場企業に対してESG情報開示が義務化されました。国外においても、国際的なサステナビリティ開示基準が次々と策定されています。来年以降、ESG市場の動きはさらに加速していくと考えています。
導入時の伴走で 感じたスタートアップとの共創とは
-どのような経緯でDNPはSmartESGを導入することになったのでしょうか。
もたい:シェルパにお話を伺ったことをきっかけに、社内のESGに関する取り組みに目を向けました。ちょうどDNPがESG情報開示に関して、業務プロセスの課題解決と企業価値向上への活用を検討しているタイミングであることを知り、担当の部署と連携してSmartESGを段階的に導入していくよう支援していきました。
まずはDNPがユーザー企業としてスタートアップのサービスを導入できるよう、伴走をしていました。杉本さんと相談しながら社内向けの説明資料を準備したり、両社会議前に社内部門に確認事項をヒアリングして準備する、などの支援をしていました。
杉本:2022年の12月に導入を開始し、半年ほどで一定の成果が出たので、利用期間を更新していただきました。新たに追加された機能も含め、効果的にご活用いただいています。
-スタートアップと大企業が共創する際に、それぞれどのようなことを意識していますか。
もたい:新規事業をつくる際に、我々だけでは実現できないことが多々あります。スタートアップの特長は、課題の着眼点、先端的で専門的な技術、UIやUXの滑らかさ、スピード感。これらの強みをDNPのアセットと組み合わせて、新規事業を生み出すことを日々考えていますね。また、DNP社内において共創への理解を深めることも重要です。事業に対して課題を持つ担当者に共創の価値を知ってもらい、その途中ではスタートアップと伴走しながら新規事業を推進させていきたいです。
杉本:まさにスピード感は我々の強みです。開発したサービスを迅速に市場に流通させ、いただいたフィードバックをもとに改善し、より良いサービスを展開します。そのために、親和性の高い適切なパートナーとの共創は欠かせません。DNPのようなサステナビリティ経営を目指す大企業とご一緒することで、我々のサービスアップデートがさらに加速している実感があります。
DNPからは、機能やUIデザイン、作業効率化などの具体的なアドバイスをいただきました。とても真摯にサービスに向き合っていただき、共創への意識を強く感じました。我々のスピーディなプロダクト改善は、導入企業様のご意見によって実現しています。DNPと共創で改善したプロダクトを他の企業に対してはもちろん、社会へ還元していきたいですね。
もたい:フィードバック後の改善が速く、スタートアップのスピード感を目の当たりにしました。SmartESGを利用することで、ESG情報開示の効果が高まっていると実感しています。また今後は、DNPのパートナー企業とも連携して、サステナビリティ領域におけるビジネスの共創に取り組んでいきたいです。
DNPが考えるスタートアップとの共創について
-今後さらにESG市場が拡大していく中、杉本さんの今後の展望をお聞かせください。
杉本:ESG市場はさらに広がり、技術も進化していくはずです。今後も様々なルールが策定されることが予想されますが、企業がこれから抱えるであろう課題をSmartESGが解決することで、社会に貢献したいです。我々のサービスが道標となり、導入くださった企業の取り組みがベストプラクティスとなるよう支援していきたいですね。
現在、市場からの評価を高めるための分析機能を開発するなど、高度なESG経営を実現するための機能を開発しています。今後もDNPや企業の皆さまからいただいたフィードバックをサービスに反映し、よりよいプロダクトに進化させていきます。
-DNPとして、どのような共創を展開していきたいですか。
もたい:私が過去にグループ会社や研究所に在籍していた頃から感じていたのは、新しいサービスを作る難しさです。DNPだけでは実現できないことがある一方で、スタートアップもチャネルや人材などアセットの課題、ユーザーフィードバックによるサービスの磨きこみの重要さを感じることがあります。
シェルパとはお互いの課題がマッチし、サービス導入へと繋がりました。スタートアップと大企業、それぞれの強みを活かして、今後も共創での新規事業開発に取り組んでいきたいです。
-SmartESGのさらなるアップデートに期待が高まります。本日はありがとうございました。
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