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2025.09.16

開発者インタビュー:「Ctrl+Cat」に込めた思い

開発者インタビュー:「Ctrl+Cat」に込めた思い
この記事はこんな人におすすめ
  • 生成AIをより簡単に活用したい企業
  • 生成AIの社員導入をすすめたいが課題を感じている企業
  • AI活用をより促進するために施策を検討している企業

こんにちは。DNP INNOVATION PORT運営の小泉です。
最近では仕事をする中で耳にしないことはない「生成AI」ですが、実際上手に活用できているかといわれたら、まだ「?」な方もいるのではないでしょうか。
生成AIをもっと身近に、もっと楽しく使ってもらうために──。そんな想いから生まれたのが「Ctrl+Cat」です。今回は、その開発に携わった佐藤さん、大野さん、堀江さんの3名に、誕生の裏側やサービスに込めた思いを伺いました。

きっかけはハッカソン

まずは「Ctrl+Cat」誕生のきっかけから教えてください。

佐藤さん:
もともと「Ctrl+Cat」は、社内の生成AIラボでの活動が終わった後、有志でハッカソンに挑戦したことがきっかけでした。テーマは「生成AIを活用したアプリで社員がもっと楽しく、楽に仕事をすることが出来る仕組みを作ろう」でした。そこで思いついたのが、日常の業務でもなじみのあるコピー&ペーストで使われるショートカットキーを入り口にAIを使える仕組みです。

堀江さん:
ハッカソンではアイデアを考える時間が限られているので、自然に発想できるかが大事でしたよね。最初は全然アイデアが出なくて、どうしようかって話をしていました。

大野さん:
そうでしたね。そこで、佐藤さんが「コピーって誰でも使うし、そこにAIをつなげたらいいんじゃない?」とアイデアを出してくれて、一気に方向性が固まりました。

佐藤さん:
きっかけは本当にシンプルなんですが、「誰でも直感的に使える」というところを意識したのが大きかったと思います。

「なぜか使われないAI」を突破するために

社内の生成AIラボ活動を経て見えてきた課題はどんなものでしたか?

佐藤さん:
生成AIラボでは約170個のアプリを試作開発したんですが、正直、社員の利用率がなかなか伸びなかったんです。便利なはずなのに「どう使えばいいかわからない」「わざわざ起動するのが面倒」という声が多くて。そこに強い課題意識がありました。

堀江さん:
実際、僕らの周りでも「生成AIって興味あるけど、どのツールをどう使えばいいのか迷う」という人が多かったですよね。

大野さん:
逆に慣れている人は、自分で用途ごとにツールを選んで試せる。でも初心者は「そもそもどう始めればいいかわからない」から、その差がどんどん広がってしまう。それを埋めたいという気持ちがありました。

佐藤さん:
だからこそ「自然な業務フローの中でAIを呼び出せる仕組み」が必要だったんです。コピー&ペーストの際にも使用されるショートカットキーは誰でも毎日使う操作なので、そこからAIを呼び出すというのは一番わかりやすいアプローチでした。

名前の由来は「猫の手も借りたい」

名前もユニークですよね。「Ctrl+Cat」とはどのように決まったのですか?

堀江さん:
名前はかなり悩みましたね。コピー=Ctrl+Cから「コントロール」、そこに日々の業務の中で「猫の手も借りたい」というテーマを重ねて「キャット」としました。実際、猫がコピーした内容を回収してくれるようなイメージで、UIにも猫のモチーフを取り入れています。

佐藤さん:
「猫の手も借りたい」って、仕事を楽にするというテーマにぴったりでしたよね。しかも社内でも「猫が好き」という人が多いので、親しみやすさも出ると思いました。

大野さん:
僕は最初、「猫って可愛いけど業務アプリに合うのかな?」と正直思いました(笑)。でも実際にUIに組み込んでみたら、堅い業務アプリに“遊び心”が生まれて、むしろポジティブに働きましたね。

佐藤さん:
そうなんです。業務アプリって「義務感」で使うことが多いけど、「ちょっと楽しい」と思える仕掛けがあると、自分から進んで使いたくなる。そこを大事にしました。

2週間で形にしたスピード感

開発スピードもかなり速かったと聞きました。

大野さん:
ハッカソンに向けた開発期間はわずか2週間。アイデア出しから実装まで一気に進めました。細かく悩む余裕はなく、とにかく試して形にしていくスピード感がありましたね。

佐藤さん:
迷っている時間がなかったので、判断もどんどん即決でしたよね。「これで行こう」と決めたらすぐ実装に取りかかる。そういうテンポ感は普段の業務とは違う刺激がありました。

堀江さん:
普段だと仕様検討やレビューで時間がかかるけど、ハッカソンは「まず作って見せよう」という勢いがありましたね。その分、完成度も高くできたと思います。

大野さん:
実際に社内で使ってもらった時に「便利だ」と言われたのは、自分たちでも驚きました。短期間で作ったものでも、使う人の体験を変えられるんだと実感しましたね。

佐藤さん:
登録ユーザーのうち半数がアクティブに利用しているという数字も出ていて、それは自信になりました。普通の社内ツールではなかなか出せない数字ですから。

実際の使い心地

実際に使うとどんな体験ができるのでしょうか?

佐藤さん:
使い方は本当にシンプルです。コピーした内容をショートカットキーで渡すとCtrl+Catに渡すと、画面に「要約」「翻訳」「分析」「説明」「調査」などのアクションが並びます。そこからワンクリックするだけでAIが応えてくれます。

堀江さん:
例えば英語のWebページを見ていて、そのままコピーして「翻訳」を押せば一瞬で日本語になります。スクリーンショットをコピーして「要約」を押せば、AIが画像内の情報を解釈してまとめてくれる。業務での“ちょっと困った”をすぐに解消できるように設計しています。

大野さん:
便利さ以上に意識したのは「直感的にわかるUI」です。余計な説明をしなくても「このボタンを押せばいいんだな」と思えるように。プロンプトをいちいち考える必要もなく、すでに準備された行動を選ぶだけで済むようになっています。

佐藤さん:
ただ、一方で「もっとこうなったら便利」という声も出てきています。コピーしてから送る操作がワンクッションあるので、そこをどうシンプルにできるかは今後の課題です。

堀江さん:
そうですね。せっかくデスクトップアプリとして動いているので、パソコン側の機能ともっと密接に連携できれば、さらに便利になるはずです。例えばファイル操作やスケジュールとの連動などですね。

大野さん:
そういう「次の一手」を模索できるのも、このツールの面白いところだと思います。現場の声を取り込みながら成長していける余地がありますね。

今後の展望

今後、どのように発展させていきたいと考えていますか?

堀江さん:
現在は社内だけでなく、外部企業にも先行評価版を提供し始めています。展示会などでも反響をいただいており、今後はより多くのパートナーと連携しながら、現場の業務を支える存在にしていきたいです。

大野さん:
生成AIを「使ってみよう」と思える体験をどう作るかが鍵だと考えています。業務を楽にするだけでなく、楽しさも提供できるように進化させたいですね。

佐藤さん:
私たちとしては、一緒にこの「猫」を育ててくれるパートナーと出会いたい。使う人の現場に寄り添いながら、共に成長できる存在にしていければと思います。


ユーザーに寄り添うAI体験へ

「なぜか便利そうなのに使われない」──そんな生成AIのジレンマに挑んだのがCtrl+Catです。開発者たちが目指すのは、ただの業務効率化ではなく、「誰でも自然にAIを使える環境」を作ることでした。その背景には、ユーザーがAIを“直感的に、楽しく”扱える未来を実現したいという思いがありました。

 

「Ctrl+Cat」は、AIをもっと身近に、もっと楽しくするための実験的な一歩から始まった。1人のユーザーとしては、日常の業務と同じアクションしかしないのに、よりスムーズに日常の業務がこなせるようになることがとても魅力的に感じました。

これからどんな進化を遂げるのか──猫のように気まぐれで愛らしく、そして頼りになる相棒として、多くの人の仕事に寄り添っていくその姿を今後もDNP INNOVATION PORTを通して発信していきたいと思います。

 

ツールについてのお問い合わせや、生成AIを活用した取組への共創のご連絡などお待ちしております。

ご興味、ご関心お持ちいただけた方は、是非こちらからお問い合わせください。

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