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女子カーリングチームのロコ・ソラーレが「チアスタ!」と「FitStats」のアンバサダーに就任
スポーツで夢をかなえる喜びや達成感、健康習慣づくりの大切さを伝える 大日本印刷株式会社(DNP)は、北海道北見市常呂町(ところちょう)を拠点として活動する女子カーリングチーム「ロコ・ソラーレ(Loc……
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ニュース
DNPの情報銀行事業としてFiNCと共同開発したサービス「FitStats」は、健康改善意識が高いユーザーのデータを利活用できるマーケティングサービスです。FitStatsを通じて、ユーザーは健康改善をしながらどの企業にどの情報を提供するかを詳細に設定でき、企業は健康スコアで細かくセグメントされた個々人のデータをマーケティングや事業開発に活用できます。
今回は、ヘルスケア事業の推進を目的にFitStatsを導入いただいたNECのご担当者様と、DNPでFitStatsの企画・開発を進める担当者に話を伺いました。
左から:
NEC 事業開発統括部 Lifestyle Supportグループ プロフェッショナル 安東 正貴氏
NEC 社会公共ソリューション開発部門 ヘルスケアグループ 主任 石橋 竹志氏
DNP ABセンター データ流通事業開発ユニット 情報銀行事業推進部 部長 齋藤 元氏
DNP ABセンター データ流通事業開発ユニット アライアンス推進部 高居 正武氏
DNP 齋藤:私と高居はDNPのデータ流通に関する新規事業開発の一つとして、情報銀行事業を推進しています。 個人情報保護やデータ活用が求められる背景から政府が情報銀行事業を進める中、DNPも2013年から認定組織として制度企画などに携わってきました。その後、実際に事業化を進め2022年にリリースしたのがヘルスケア情報銀行サービス「FitStats」です。
2020年以降はコロナの影響で世の中が大きく変化する中で、家で過ごしていた人が次第に運動を始めるなど、ヘルスケアへの意識が高まっていく機運や健康領域のサービスの需要を感じてきました。各企業においてはヘルスケアに関するデータへのニーズが高いこともわかり、情報銀行とヘルスケアを掛け合わせたテーマで検討を進めたのが、FitStatsの始まりです。
いざBtoCのヘルスケア事業に取り組もうとすると、やはり専門性が高く社会に認知されたパートナーの必要性を強く感じ、1000万超のダウンロードを誇るヘルスケアアプリを展開するFiNC社と話を進め、情報銀行サービスの構築に向けた協業検討が始まりました。
齋藤:“情報銀行”というのは、個人のデータ(パーソナルデータ)を本人の同意のもと適切な事業者へ提供し、データを提供した生活者は事業者からさまざまな便益を受けることができる仕組みのことを言います。
企業はデータを活用するだけでなく、情報銀行サービスを通じて生活者にPR活動ができるなど、ビジネスチャンスを拡げることができます。
それをヘルスケア領域でサービス化したFitStatsでは、ユーザーとなる生活者は、食事や睡眠、メンタルなどについての質問に答えると健康状態が可視化・スコア化され、それを向上させる多様なプログラムも提供されます。FitStatsサービスへのタッチポイントが「FiNC」アプリ内であることから、今のユーザー層は20代から30代女性が多いですが、性別問わず健康意識が高い30歳から50歳のユーザーも徐々に増えてきております。
企業側は、FitStatsを通じてヘルスケア領域のユーザーデータを得られますが、ユーザーは自分の属性や回答した質問項目についてどの範囲をどの企業に公開するかを選択できるので、自社に公開しても良いとした人のデータを活用できます。その取得したデータを元に、企業は個々のユーザーにクーポンやダイレクトオファーを送ることができます。オファーを受け取ったユーザーはポイントを得られ、溜めたポイントをFiNCやFitStatsの提携サービスのクーポンなどに交換できるという便益を提供するまでが一連の流れです。
齋藤:FitStatsは、ヘルスケア事業領域におけるマーケティングニーズに対して、健康意識が高いユーザーという前提でデータ収集やアプローチをしたい場合に活用できるサービスになっています。本サービスのタッチポイントであるFiNC自体は日々の健康やダイエットを記録するアプリなので、ダウンロードしている時点ですでに健康への取り組みに意識が向いているユーザーと考えられますし、そういう人が集まるのがFitStatsの特徴でもあります。
一つポイントとなるのは、企業に対し情報の利用に同意してくれたユーザーは、継続的に情報提供に同意し続ける状態になることです。つまり、企業の会員組織に近い状態と考えることができます。自社の会員組織をゼロから作り上げるには大きなリソースが必要ですが、FitStatsというプラットフォームに入るだけで、アンケートや販促オファー、クーポン送付などのマーケティング展開が即座にできるようになります。個人情報保護規制への注目が高まる今こそ、顧客となり得る層のデータを安全に集め、それに基づいたアプローチを行う際には大いに活用いただけると考えています。
NEC 安東:NECは2030年に向けてヘルスケア・ライフサイエンス事業を成長戦略の柱の一つとし、私と石橋はその中の健康や予防に関する「Lifestyle Support」の領域にそれぞれ携わっています。私は「A-RROWG(アローグ)」という、歩行分析センサーを搭載した専用インソールでユーザーの歩行状態を可視化するサービスに取り組んでいます。
NEC 石橋:私は2021年6月にスタートした「NECカラダケア」というフィジカルケアサービスの企画運営をしています。現在は神楽坂に店舗を構えていて、身体の不調がある方に対してセラピストが施術をするというBtoCサービスを提供しています。
将来的にはフィジカルケア事業を大きく展開していきたい想いがある中で、アプリ開発やAI技術活用などを検討するにも、BtoB事業がメインのNECではデータを収集するフックがないといった現状があります。データが得られないと分析もできず、AI技術も進化していかないので、ならば生活者に向けたサービスとして店舗を構え、データの入り口をつくってみようと始めたのが経緯の一つでもあります。
石橋:NECカラダケアの店舗では、集客に向けてポスティングやWebサイトへの導線作りなどいろいろな手段に取り組んできましたが、なかなか効果が出ないことに課題を感じていました。ポスティングでは一定の効果は出るものの、どういう人がそのチラシを見ているのかまでは追えず、エンドユーザーを意識した集客が必要と感じていました。
その点FitStatsでは、ユーザーの属性だけでなく健康意識の有無などもわかるので、サービスを必要と感じてもらえそうな人に直接アプローチできる点に魅力を感じ導入に至りました。特に決め手となったのは「将来肩こりや腰痛が不安」などの細かい項目でデータを検索できる点です。不安を感じる人はおそらく今も何か課題を抱えているはずで、そういった情報を入力したユーザーに対して、カラダケアに来てみませんかとお声がけできるなと。
さらに、今年の9月からは産前産後の方に向けた出張型ケアサービスを開始したことから、「出産・子育て」を重要と考えるユーザーを絞ることもでき、プロジェクトごとに対象ユーザーを細かく絞ってそれぞれのコミュニケーションを考えていけることに、今までの手法にはない大きなメリットを感じていますし、これによる集客率向上を期待しています。
高居:ユーザー側が回答する項目として、今は108の項目を用意しています。石橋さんがおっしゃったような「病気について心配なこと」や、身体や運動関連以外にも、出産・子育てやお金についてなど、将来に向けた取り組みや重要視する価値観もユーザーが意思表示をできるので、利用企業側はサービスに合う項目でピックアップしてコミュニケーションを構築できます。
カラダケアがテーマであれば、実際に神楽坂の店舗もあるので、居住地や性別、年齢、運動をしている場合の頻度などといった情報で絞ることもできるので、サービスをオファーする場合も効果的な形でユーザーにアプローチできるんじゃないかと提案させていただきました。
安東:「A-RROWG」はサービス開始から2年ほどが経ち、次の事業拡大に向けた機能強化を考える中で色々とリサーチしている段階です。今はユーザーの歩行に関するデータを可視化し、歩き方を改善するための動画などを提供していますが、歩くことと健康を結びつけて関心を持つ顕在ユーザーはまだまだ限定的なため、もう少し利用者を広げていくには他の入り口からのアプローチが必要です。
そこで、A-RROWGの潜在ユーザーはどのような課題を持っているかなどの調査をしたいと思ったのが、FitStatsを導入したきっかけでした。従来の調査やアンケートサービスでは対象者を細かく絞れず、健康に対してそこまで意識がない方に調査をしてもプロダクトとの距離が遠いのではと感じていました。
FitStatsでは健康意識が高いユーザーが集まっていることを前提に、たとえば「腰痛」などを入口にして複数の属性情報が得られることから、新たなインサイトや隠れたニーズ、健康に対する課題が浮かび上がるなど、今までのアンケートとは異なる結果が得られることを期待しています。
それが見えてくると、強化すべき機能を検討できるので、従来の調査よりもより効率的にお客様に合ったサービスに繋がっていくと感じています。また、FitStatsを通じたコミュニケーションによって、ユーザーの方に歩き方を意識していただけるようなことができれば、潜在ユーザーに対するマーケティング活動をさらに広げていけると思っています。
石橋:検索画面を見ているだけで結構楽しいんです。対象の項目で調べて、この検索軸をこう変えたら何人くらい出てくるのかな……と、手元にデータがある状態で探っていけるのは今までになかったことですし、それだけでも価値があると思います。
また、ユーザーへ周知するリードタイムという観点で、Fitstatsの場合はこちらからユーザーにオファーなどを送ると数日のリードタイムでアプリに届くので、店舗での新たなキャンペーンなどを企画した際に、すぐにその情報をユーザーへ届けることもできるのかなと考えております。さらに、社内への説明根拠という点では、今まで数値化できなかった部分もFitstatsの検索画面の時点で定量的な情報は出せるので、社内に対してもファクトとしての説得力が増しますよね。
安東:ダッシュボードでスコアごとにグラフが表示されるので、対象者の中でもマスではどんな傾向があるかが事前情報でわかります。それを見ながら、「じゃあこういうアンケートをしてみよう」といったアクションに繋げたり、「こういうニーズがあるんじゃないか」などゼロからつくるよりも一層精度の高い仮説を立てることができるのではと思っています。
石橋:カラダケア事業では、店舗でやろうとしている施策をすぐに対象のユーザーに通知して店舗に来てもらえるように、どんどん集客を増やすためにまずは活用していきたいと思います。まさにこれからユーザーに向けた通知やオファーを発信していくところなので、その結果を見ながら運用していくことも楽しみです。
安東:ユーザーニーズの調査を通じて、新しいサービスの仮説やプロトタイプができれば、アンケートに答えていただいたユーザーの方にお試しで使っていただき、またそこから声を拾うといったサイクルがつくれたら良いと思っています。事業者サイドからもそういったサイクルがつくれると、より早くお客様に合ったサービスをリリースできますし、一段高い検証された仮説が得られることで、事業開発が一層加速すると思っています。
個人的に期待しているのは、これから良い結果が出てきた時に、FitStatsがみんなが使える標準ツールというか、共通インフラのようになっていくことです。
また、サービスを通じて事業者側からもユーザーに情報を提供していけるので、ユーザーの企業に対するイメージも良くしていけたり、変化を生むことができると思います。そういった意味で、自分たちにとってもプロモーションに留まらず、ブランディングとしての利用価値が出てくるように感じています。
齋藤:我々の情報銀行サービスには、生活者と企業という二つのユーザーがいます。生活者にたくさん利用してもらうためには、まずは情報を入力する面倒臭さといった壁を突破する必要があるので、もっとデータを入れたくなるような機能を充実させ、生活者がより健康に役立つと思えるサービスにしていきたいです。
一方の企業に対しては、やはりデータの量と質が重要になってきますので、入力項目を増やしたり、さらにセンサーやデバイスからデータを取り入れるなど、現時点でも一部で実現している機能を拡充させていきたいですね。もっとこういうデータが欲しいなどの声を聴きながら、FitStatsでできることを広げていきたいと思っています。
高居:現在アプリのメイン項目には食事や運動、身体、メンタル、睡眠といった領域があり、今後は他の領域も網羅していきたい気持ちもあります。たとえば睡眠系のサービスを持つ企業様や、メンタル的な癒しを与えるサービスを持つ企業様など、ヘルスケアをより広く捉えてエコシステムのような形をつくっていけたらと思います。
今、多くの企業がヘルスケア領域に取り組む中で、大企業であっても意外とその取り組みは知られていなかったりもします。だからこそ、FitStatsを入り口として、実は僕たちの会社はこういうこともやっているんですよといったコミュニケーションから、ブランド訴求をダイレクトにしていただけるのは、中長期的に見ても大きな価値になると信じています。