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2022.12.26
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【セミナーレポート】新規事業の実践論~大企業は必ず新規事業を生み出せる~

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DNPでは、新規事業の創出活動においてさまざまなサービスのサポートを得ながら推進しています。その一社であるユーザベース社が提供する経済情報プラットフォームSPEEDAR&D)では560業界の分析レポートや市場データ、トレンドデータ等が格納されており、日々の情報収集や調査が効率化されています。今回はSPEEDAの支援のもと、新規事業家の守屋実氏をお呼びして、DNPグループ社員限定のセミナーを開催させて頂きました。社内限定のセミナーではあったのですが、非常に学びが多かったので中身を少しだけレポートさせて頂きます!

 


【この記事はこんな方におすすめ!】

✓大企業の中で新規事業開発に課題を感じている担当者

✓大企業の新規事業開発推進をミッションにお持ちの経営企画、事業企画の担当者


 

守屋実氏のご紹介

守屋氏は「新規事業家」という肩書で、19歳で初めて起業をされてから30年程企業内外でさまざまな新規事業を興されている「新規事業のプロフェッショナル」です。

大企業の新規事業開発におけるノウハウの中でも、実際にどうアイディアを事業化するのか、どう磨き上げるのか、どのような環境でアイディアが育つのか等を、守屋氏のご経験と実績から超実践的なポイントまでご解説頂きました。内容としては一部ではありますが、熱いメッセージと共にレポート致します。

 

企業内起業家に伝えたいこと

大企業の新規事業開発担当者は、いわば「企業内起業家」です。数多くの大企業の新規事業を支援してきた守屋氏が、企業内起業家に伝えたいことは下記3つだそうです。

・企業内起業は必ず新規事業を生み出せる。

・99%同じ間違い方を繰り返している。

・仕組みを変えれば会社は生まれ変わる。

 

まず、大企業の企業内起業はスタートアップに比べて人材、資金、信頼、ネットワーク等のリソースが豊富なので、相対的に見て有利という点があります。また、新規事業は多産多死のため、生み出せる環境と育つサイクルのある大企業は事業を成功させることのできる可能性が高いです。

 

ですが、残念ながら大企業は99%同じ間違いを繰り返しているそうです。たとえば「本業一本鎗」になっていて、どうしても目的が所与されて手段に専心するというやり方になっており、事業全体について考えることが疎かになっているという点が問題です。また新規事業に取り組む際に、本業とは異なる領域なのに本業メンバーのみでやろうとすることがそもそも間違いだと言います。例えば、自動車会社を作ろうとしたときに、車を作ったことも売ったこともないメンバーで立ち上げるのは無謀ですよね?自社の新規事業とはいえど、闇雲に自社メンバーのみでやろうとするのではなく、立ち上げようとしている事業の専門家や、守屋氏のような新規事業のプロを入れることが効果的である、とのこと。

 

そして最後に、その間違いを繰り返さないために必要なのが「仕組みを変える」ということです。守屋氏が新規事業支援で携わった大企業の中で、社内の仕組みを変えて、その中で生むというテストをしたところ、新規事業を生みやすくなったという事例が増えたそうです。具体的にはCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル) を立ち上げて、予算をつけて、自分たちでスタートアップを見つけてJV(ジョイント・ベンチャー)を作っていくという方式ですが、この手法が取れる体力があるのも大企業ならではです。

 

事業アイディアをカタチにする方法

事業のタネとなるアイディアは、日常の中で個人が感じている「不」や「もっとこうだったらいいのに」という想いの中にいくらでもヒントがあります。では、そのアイディアをどうやって「事業」としてカタチにしていけばいいのでしょうか?

 

守屋さんのセミナーではとても分かりやすい図をもとに解説頂きました。

speeda

新規事業開発には一般的に「ビジネスモデルキャンバス」と呼ばれるフォーマットがよく使われますが、数あるフォーマットや検討すべき項目の中で守屋氏が一番大事で、一番先にあるべきと言うのが「顧客ニーズ(①)」です。作ったものを買ってくれる人を探すよりも、人がほしいという商品・サービス(②)を作る方が安上がり、というのは納得ですが、その「ほしい」が「お金を払ってでもほしいのか」はよくよく確認する必要があると言います(③)。そして、ニーズに対して作る商品・サービスに関しても、こんなにニーズがあるのに今世の中にない理由をよく考える必要があります(④)。

顧客ニーズに対して商品・サービスを提供した後も、顧客のフィードバックを聞き、さらに商品・サービスを改善していくというサイクルを回していくことがとても重要です(⑤・⑥)。それをすることで、顧客のニーズがさらに広がり(⑦)、商品・サービスの幅も広がっていきます(⑧)。そうすることで、新規参入(⑨)が起こり、競争力が生まれることで事業としての価値が高まっていくそうです。

作って終わりではなく、常に顧客のニーズを聞き、ニーズの変化に対応しながら事業をブラッシュアップしていくことが大切ということが、この図でよく分かります。その他にも、大企業の新規事業が陥りがちなポイントを多々ご指摘頂き、その打開策も併せてご教示頂いたのできっと悩みが解決された参加者も多かったのではないでしょうか。

 

意志ある先に道は拓ける

守屋氏の著書に『起業は意志が10割』があるように、セミナーの中で「意志」の大切さについては何度も触れて頂きました。新規事業は量稽古、数勝負のため、100打って1当たればいい方です。上手くいかない過程の中で心が折れそうになったり、やめたくなってしまうこともあると思いますが、その中で指針となるのが自分の「意志」です。意志を持って挑戦し続けられるか、チャンスが来たときに足踏みせずにすぐ一歩を踏み出せるかで、その先に拓ける道が変わります。

新規事業開発を志すものとしてどんなスキルセットより必要なのは、世の中の何を変えていきたいのか、誰のどんな不を解決したいのか、常に自分自身に問いかけながら意志を持って進み続ける気持ちの強さなのではないでしょうか。

 

そして、最後には参加者より以下のような質問も頂き、お時間のある限りご回答いただきました。

・守屋氏が立ち上げに携わった「ラクスル」の着想の経緯

・新規事業と現業のうまい「分離」の仕方

・新規事業を進める上で欠かせない経営層の心構え

その場限りのお話も多かったので記事では割愛しますが、日々の新規事業推進に役立つお話や、背中を押されるようなお言葉をたくさん頂けました!

 

セミナー実施後の社内アンケートでは、なんと95%の方から「満足・やや満足」の満足度評価を頂けました!

「これまで難しく考えすぎていた新規事業立案のフローについて、納得感のある意見を聞くことができた」「守屋さんのご発言一つ一つに共感し、自信を持って行動できるように感じた」「会社の仕組みそのものが変わらないと難しい面だけでなく、自分自身の意識変容で変えられることについても触れてくださり参考になった」等、多くのポジティブな感想も頂きました。

 

守屋さん、大変貴重なお話を頂きありがとうございました!

DNP INNOVATION PORTはこれからも新規事業を生むため、育てるために、共創パートナーとの出会いの場の創出や、新規事業担当者に役立つ情報発信を行っていきます。

 

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